30話 混戦
ヴァレンタインは右手に魔力を溜めジュリアに向かって放つと、金色の魔力の塊が凄まじい勢いでジュリアを襲った
だがジュリアはヴァレンタインの放った魔力の塊に触手を突き刺すと勢いよく爆発してしまった
水色の髪の男は横からヴァレンタインに斬りかかるが、ヴァレンタインは男が振り下ろす剣より早く拳を振り男を殴りとばした
ジュリアはそのスキにヴァレンタインとの距離を詰めると触手も使い、ヴァレンタインに襲い掛かった
ヴァレンタインは男を殴り飛ばした時に男から奪った剣を使い、ジュリアの触手を斬っていく
その勢いでヴァレンタインはジュリアに斬りかかったが、ジュリアの触手が固くなりヴァレンタインの剣をギィン!と受け止めた
触手はそのままぐにゃりと柔らかくなると、剣にぐにゃぐにゃと巻き付いて来た
「ちっ」
ヴァレンタインは舌打ちすると剣から手を離しジュリアとの距離をとろうと後方へ飛び退くと、ジュリアは触手で絡めとった剣を水色の髪の男に向かってひゅんと投げ返した
男は自分の足元に突き刺さった剣に手を伸ばすと無表情のまま握り、再びヴァレンタインに向かって構えた
ヴァレンタインは男をチラリと見た
あの男はこれといった魔力を使った攻撃をして来ない
ジュリアもエリザベスの予測で怨念ではないか、と言っているだけで本当のところはわかっていない
更にあの男はもっとわかっていない
殴っても無反応だし、ジュリアは恐らく斬ったところでまた再生するのだろう
ヴァレンタインは攻めあぐねていた
そんなヴァレンタインの様子に、ジュリアはニヤリと笑いながら再び攻め込んで来た
今度は触手をヴァレンタインに向かわせながら手を伸ばすと、しゃぽん玉のような物が数多と現れヴァレンタインに向かって勢いよく襲いかかった
ヴァレンタインが触手を避けるとそこに玉が飛んで来て、触れるとばん!と弾ける
当たった後は少し擦りむいたような怪我をするだけだが、小さいうえに数が多くて厄介だ
「あー!面倒くさいな!」
ヴァレンタインはイラついた
「ヴァル!」
声がした方を見ると、魔獣の姿のエリザベスに乗ったクリスが空からフワリと降りて来た所だった
「もう、何やってるのよ」
エリザベスはご立腹だ
ジュリアはエリザベスとクリスが現れた事に不機嫌になった
「また邪魔者が来たわね」
ジュリアはそう言うと、エリザベスとクリスに向かって手を伸ばした
すると先程、ヴァレンタインに向かって飛んでいたシャボン玉のような玉が一斉にエリザベスとクリスに向かって飛んで行った
エリザベスはクリスを乗せたまま、8又に別れている尻尾をブンとふると、玉は風にあおられ飛び散り、お互いが触れるとボンボンと破裂していく
「こんな近くで騒がれたら、気付かない訳ないでしょ」
エリザベスはそう言いながら人型になった
「そうだよ、人の家の庭先で暴れないで欲しいな」
移動魔法を使い、リチャードも現れた
「あら、ごめんなさい
少々、騒ぎすぎたかしら?
それじゃあ、早めに切り上げなくちゃね」
ジュリアがそう言うと、水色の髪の男がリチャード達に向って飛び出した
男は手を延ばすと腕は蔓のようになり、それが何本も出てくる
蔓はくねくね動き、エリザベスやリチャードに向って襲い掛かってきた
「気持ち悪いわね」
エリザベスはそう言うと右手にレイピアが現れ、涼しい顔で蔓を次々と斬っていく
リチャードとクリスは杖を召喚すると防御魔法を展開し、自分を守った
そして杖を男に向けるとリチャードの杖からは炎が、クリスの杖からは突風がおき、炎は男に向かって渦を巻いて襲い掛かった
無表情な男だがさすがに炎は恐ろしかったのか顔に恐怖が現れると、懸命に襲い掛かって来る炎の渦を避けて逃げ回った
「やっぱり植物ね」
エリザベスがそう呟いた
その攻撃の間にジュリアはヴァレンタインの後ろに亜空間を開けると、亜空間から自分の触手を伸ばしヴァレンタインを絡め取った
「あっ!くそっ」
意外な所から触手が現れて、ヴァレンタインは身動きが取れなくなった
ヴァレンタインがジュリアを見ると、ジュリアは自分の後ろに亜空間を開き、そこに触手を入れている
そしてその亜空間の出口がヴァレンタインの後ろに開けられ、触手が出てきていた
亜空間を扱うやつは厄介だな
ヴァレンタインは触手を引きちぎろうとするが、触手は切れない
ジュリアはサクサクと歩いてヴァレンタインに近づいた
「あの子はね、私の種を与えたの」
ジュリアはそう言いながら、指先くらいの大きさの種を摘まんでヴァレンタインに見せた
「さ、これを飲んで」
「はあ?」
「そしたら貴方は私の物になるわ」
「はい、わかりましたって言うと思うのか?」
「ヴァル!」
クリスはヴァレンタインを助けようと必死で近づこうとするが、ジュリアの玉が行く手を邪魔する
クリスは突風を起こして玉を飛ばすが、飛ばされた玉は戻って来る上に次から次へと出てくる
「もう!」
玉は飛ばしても戻って来るので、エリザベスは破壊する事にした
右手を空に向けて魔力を溜めると、一気に解放する
すると玉は次々と割れていった
ジュリアはクリス達が近づいて来ている上に、水色の髪の男はリチャードに炎を使われてこちらには来れない様子を見ると
「…ゆっくりはしれいられないわね」
と言うと再び種をヴァレンタインの顔の前に差し出した
「さ、口を開けて」
「…」
ヴァレンタインは触手を引きちぎろうと力を込めるが、なかなか切れない
「仕方ないわね」
ジュリアはそう言うと、種を自分の口の中に入れた
ジュリアは更にヴァレンタインに近づくと、両手でヴァレンタインの頬を包み込み口づけをしようとするのだった
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