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28話 恐怖

「け…結婚式?」

ヒラヌルは固まってしまった


「レイメント伯爵はクリスティーナ嬢と一日でも早く結婚したいと言っています」

王妃はヒラヌルにヴァレンタインを諦めさせるために、どんどん話しを進めていく


「母上様、それはその女がヴァレンタイン様に無理やり言わせているだけです

本当は私と結婚したいとお望みです」

ヒラヌルは王妃の側へ駆け寄り跪くと、王妃の膝に手を添えた


王妃は「ふー」と一息入れてからヴァレンタインを見た

「ヒラヌルはこう申していますが?」


ヴァレンタインは冷ややかな視線をヒラヌルに向けた

「俺が愛しているのはクリスだけだ

俺達は結婚するのだから邪魔するな」


「ヴァレンタイン様!」

ヒラヌルにはショックを受けた

王妃の膝から手を離すと、ヴァレンタインの方へと体を向けた


「ヴァレンタイン様、ここには私もいます

王妃である母上様もいらっしゃいます

その女に気を使わず、どうぞ本当のお気持ちを仰って下さい」


ヴァレンタインは呆れた

今までおかしな女に付きまとわれた事は何度かあるが、ここまでおかしい女は初めてだ


「何度も言うが、俺が愛しているのはクリスティーナ・ルナ・オルドリッジだ

お前は俺達とは何の関係もない」

「ヴァレンタイン様!何という事でしょう!?]

ヒラヌルはクリスを睨みつけた

「貴女はヴァレンタイン様に何をしたのですか!?」

「は?」

何を言っているのだろうかと、クリスは訳がわからなかった


ヒラヌルは恐ろしい物でも見たかのように、両手で自分を抱きしめた

「ああ、恐ろしい!この魔法使いは魔法を使って私の愛するヴァレンタイン様を操っているのです!」


クリスもヴァレンタインも言葉を失った

ダメだ…この王女には何を言っても無駄だ


クリスとヴァレンタインは王妃を見た

王妃は青ざめている


「ヒラヌル、レイメント伯爵は自らそう仰っているのですよ」

「いいえ、母上様!

私がこれだけヴァレンタイン様を想っているのです

私が想えば、ヴァレンタイン様も同じように私を想っていらっしゃるはずです!」


え、何?

自分が想えば相手も同じように想ってくれると考えてるの?


クリスは唖然とした

ヒラヌルとはこの前一緒にデビュタントを迎えたのだから、同じ年だろう

だがとても同じ年で、しかも王族とは思えない言動だ


王妃は再び「ふー」とため息を付くと、クリスとヴァレンタインを見た

「クリスティーナ嬢、レイメント伯爵、申し訳ないわね

あなた達の結婚式は私から国王陛下へお話しをしておきます

宮殿の神殿で挙式を挙げる事も許可しましょう」

「「ありがとうございます」」


もはやヒラヌルに何を言っても無駄だと考えた王妃はクリスとヴァレンタインに話しを続けた


「母上様!」

「あなた方の結婚はルガード国の国王と王妃が後見人となる事を約束します」


「誰か!あの女を捕えなさい!

恐れ多くも、母上様に魔法を掛けたわ!」


はあ?この王女、本当に頭がおかしいの?

クリスは冷ややかな目でヒラヌルを見た


王妃は米噛みを押さえながら

「結婚の件はオルドリッジ侯爵にも話しておきます

あなた達はもう下がって良いですよ」

「「はい」」


クリスとヴァレンタインはそう返事をすると立ち上がり、王妃に一礼をした

ヴァレンタインは顔を上げると右手をクリスの左手と繋いだ


ヒラヌルはヴァレンタインのそんな行動をショックを受けながら見ている


クリスとヴァレンタインは手を繋いだまま、部屋を出ようとドアに向かって歩き始めた


「ヴァレンタイン様!必ずお救いします!待っていて下さい、必ずお救いしますので、その暁には私と結婚しましょう!」

ヒラヌルがそう叫び終わると同時に、ヴァレンタイン達は部屋から出てバタンと扉が閉められた


クリスとヴァレンタインはそのままもうひとつのドアも出て、廊下を歩き出した


「…怖かった」

クリスはようやく口を開いた

「あの女、おかしいよな?」

「うん」


クリスとヴァレンタインは魔獣退治より恐い思いをしたので、手を繋ぎながらそのまま廊下を歩き続けた

「魔獣より怖かった」

「精神的にきたな」


2人はまだ怖さから立ち直れない


「ヒラヌル王女、ヴァルを諦めてくれるかな?」

「あまりしつこかったら俺達の屋敷に帰ろう」

「…うん」


ヴァレンタイン達の屋敷はエリザベスが結界を張っているので、エリザベスが許した者しか中へは入れないようになっている

ましてや、人間が突破できるような物ではない


「ヴァル、やっぱり屋敷に帰ろうよ

ヒラヌル王女がこれで諦めるとは思えないし」


ヴァレンタインはクリスを見ると、顔は青ざめて怖かったのか少し震えていた


「クリスが安心するなら、そうしよう」


「あら、どこかへ行くの?」


突然、背後から声がした

驚いて振り返るとジュリアが立っている

どうやら今まさに亜空間を使ってここに現れたようだ


「お前…!」

ヴァレンタインはそう言いながら、クリスを自分の背後に隠した


「待っていても来ないから、私から来たわ」


そうだった

ヴァルはジュリア(この女)にも気に入られているんだった

ヴァルって女難の相でもあるのかしら?


クリスはヴァレンタインを見上げると、真剣にそんな事を考えた


「俺達は別にお前に用はない」

「あら、私を討伐しないの?」

「して欲しいのか?」


ジュリアはニヤリと笑った

「出来るものならば、やってごらんなさい」

「随分、強気だな

だが俺達は今、お前を相手にする気がしないんだ」

「まあ」


ヴァレンタインは逃げ腰なのではなく、本当に今はジュリアを相手にする気力がなかった

ヒラヌルとの嚙み合わない会話は、精神的にとても疲れたからだ


ジュリアはヴァレンタインに近づこうと歩き出した

だがクリスが防御魔法を張ると、ジュリアは近づけなくなった


「小賢しいわね」

ジュリアはクリスを睨みつけた


「まあ、いいわ

今は昼間で人目もあるから

貴方が宮殿に来ているようだったから、顔を見に来たの

今度はちゃんと遊んでもらうわよ」


ジュリアはそう言うと、右手を伸ばし亜空間を開けた

亜空間は大きくなりジュリアを飲み込むとシュンと閉じてしまった


「…今日はもう疲れたな」

「うん」


魔獣より、怨念より怖いヒラヌルにすっかりやられてしまったクリスとヴァレンタインだった








ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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