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27話 迷惑

クリスとヴァレンタインは宮殿に来ていた


ジュリアがいるので、宮殿には来たくないのに呼び出されてしまう

今回は王妃からの呼び出しだった


さすがに無視は出来ないので、クリスは登城した

ヴァレンタインは人間の社会に縛られるのはごめんだが、クリスが登城する以上ジュリアの事もあるので一緒に行かない訳にはいかない


王妃には謁見の間ではなく、私室へと呼び出されていた


「何なのかしら?

まさかヒラヌル王女の事かしら?」


だいたい嫌な予感というものは当たるものだ

ヴァレンタインは心配そうなクリスの横を歩きながら、クリスの頭にぽんっと手を置いた


「面倒な事を言って来るなら俺達の屋敷に帰ろう

あそこからでもジュリア(あの女)の動向を探ることは出来るからな」

「うん、そうだね」


2人でそんな相談をしている間に王妃の私室に着いてしまった

ドアの前には騎士が2人、立っている

クリス達を案内した侍女と騎士は顔見知りのようで、侍女が少し会釈をすると騎士はドアをノックした

侍女は

「皇后陛下、オルドリッジ侯爵令嬢とレイメント伯爵が参りました」

と告げると、中からドアが開けられた


部屋の中から現れた女官はドアを大きく開けると

「さ、お入り下さい」

とクリスとヴァレンタインを招き入れた


部屋はかなり広く装飾品は豪華だ

だが王妃の姿が見当たらない


女官はさらに奥へと進むと、もうひとつのドアをノックした

「いらっしゃいました」

そう言うと、先程と同様に中からドアが開けられ、また違う女官が現れた

「お入り下さい」


これ、何回続くのかしら?


クリスは心配になってしまった

だが幸いな事に、次の部屋に入ると広い部屋の真ん中に応接セットが並べられ、そこに王妃が座っていた


「わざわざ呼び立てて悪かったですね」

つり目で少々気が強そうな顔つきの王妃が和やかに話しかけた


「皇后陛下に謁見を賜り、恐悦至極に存じます」

クリスとヴァレンタインは入口で挨拶をした


「ああ、私が個人的に呼び立てたのです

そのように畏まらず、こちらに来て下さい」

「はい」


クリスはそう返事をすると、王妃の傍まで近づいた


王妃は自分の前にあるソファを手で指し

「お座りなさい」

と勧めた

「失礼します」


クリスは緊張しながらも、何とか躓かずにソファに座る事が出来た


侍女達は手際よくクリスとヴァレンタインのお茶の準備をすると、2人の前に置いた

王妃も新しく淹れたお茶を受け取ると一口飲んだ


「わざわざ呼び立てたのは他でもない、ヒラヌルの事です」


ああ、やっぱり


クリスとヴァレンタインはげんなりしてしまった

王妃はそんな2人の表情を見逃さなかった


「ヒラヌルはレイメント伯爵と将来を約束したと言っています」

「はあ!?」


ヴァレンタインはあまりの事に思わず声を上げてしまった


「違うのですか?」

「当たり前です

僕が将来を誓っているのはクリスティーナ、ただ一人です」


「ヴァル…」

こんな時だが、クリスはときめいてしまった


「レイメント伯爵がそのような事を仰るのは、クリスティーナ嬢に無理やり言わされていると言っていましたよ?」


王妃の言葉にヴァレンタインは明らかに不満げな顔になった


「俺が愛しているのはクリスだけだ

そのヒラヌルとかいう王女は妄想癖があるのか?」

クリスは慌ててヴァレンタインの腕を掴んだ


いくら腹が立ったからって、王妃にその態度はないでしょ!

それに王女に妄想癖があるなんて…


だが王妃は怒る訳でもなく「ふう」とため息を漏らした

ヴァレンタインの態度を見ると、やはりヒラヌルの独りよがりの思い込みだとわかる


「レイメント伯爵、申し訳ないわね

私からも諦めなさいと何度も忠告はしているのです

ですが、あの子は貴方と愛し合っているだの、将来を誓っただの…」

「俺は確かあの王女とは3回くらいしか会っていないぞ?

その3回だって挨拶程度だ」


王妃は頭が痛くなってきた


「王族と魔法使いは結婚できないと言うと、ベルナルド皇太子のように貴方を愛妾として側に置くとまで言い出しています」

「迷惑だ」


クリスはオロオロした

いくら何でも王妃に対する態度ではない

だがヴァレンタインは怒りのためか、止まらない


「あまりしつこいと俺はクリスを連れて国に帰る」

「クリスティーナ嬢はわが国の大切な魔法使いです

国王陛下の許可なく、他国へ行かせる訳にはいきません」

「じゃあ、あの王女を何とかしろ」


ヴァレンタインに言われ、王妃は黙ってしまった


どれだけ無理なのだとヒラヌルを諭しても、ヒラヌルは自分達は愛し合っているのにひどいと言って泣くだけだ


最近は周りの人間にまで自分とヴァレンタインは愛し合っているだの、クリスティーナ嬢は魔法使いという立場を利用してヴァレンタインを奪おうとしているだの、平気で嘘を言うようになっていた


王女としての威厳も知識もない

周りの人間はヒラヌルの軽率な行動を冷ややかな目で見ている事も、王妃の耳に入っていた


「どうすれば諦めてくれるでしょう」

王妃は心の声が、思わず口から出てしまった


「国王が何を言ってこようが、俺の伴侶はクリスただ一人だ

あの王女がクリスを陥れようとしているなら、クリスはこの国に居る必要はない

俺と一緒に帰るだけだ」

「ちょ、ちょっとお待ちなさい

ヒラヌルは何とかしましょう」


王妃がそう言った時、ドアの向こうが何やら騒がしくなった

王妃は声がする方に視線をやると、勢いよくドアが開いた


「ヴァレンタイン様!」

「ヒラヌル王女様!ダメです

今は王妃様とご会談中です」


侍女は必死でヒラヌルを止めようとしている


「私とヴァレンタインは夫婦も同然です

一緒にお話しをしても何も構いません」


王妃は我が娘ながら何と愚かなのだろうと、頭を抱えたくなった

「ヒラヌル」

「はい」


ヒラヌルは当然、こちらに来なさいと言われると思っていた

だが王妃は厳しい顔で

「出ていきなさい」

と言い放った


「母上様!ヴァレンタイン様がいらっしゃるなら私達の話しを聞いて下さい」

「レイメント伯爵とクリスティーナ嬢の結婚式を宮殿内の神殿で執り行う話しをしているのです

貴女は関係ありません

出て行きなさい」


え!?結婚式?

ほんの数日前に婚約したのに、もう結婚式のお話!?

って言うか、そんな話しはしてなかったよね


クリスはパニックになってしまった







ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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