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23話 襲撃

花屋の裏庭でクリスとヴァレンタインはまったりとお茶を飲んでいた


「お待たせしました」

中年の男性が声を掛けて来た

男性は両手でバラの花束を抱えている


ヴァレンタインは立ち上がると、その花束を受け取った

片手で持ち、少し自分から離して繁々と見ている


そしてクリスの側に来ると椅子に座っているクリスの前で片膝を付き、バラの花束を差し出した


「そういえば言ってなかったな

俺と婚約してくれてありがとう」


どうしてヴァレンタインはこんな恥ずかしいセリフをサラリと言えるのか

言われたクリスの方が真っ赤になって照れてしまった

クリスは両手で熱を帯びた頬を少しでも冷やそうと押えた


ムリ~

超絶イケメンのヴァレンタインが自分に花束を差し出しているんだもの


だがその姿がとても絵になる


イケメンはバラが似合うわね


そんなヴァレンタインをもっと見ていたかったが、いつまでも受け取らない訳にはいかないので、クリスはおずおずと手を延ばすと花束を受け取った

クリスが持つとバラの花束で埋もれてしまう


バラのとても良い香りがした


「ヴァル、ありがとう

すごく嬉しいわ」

「そうか、よかった」


ヴァレンタインとクリスは二人で微笑みあった


  ♪♫♬  ♬♫♪


花屋を出たクリスとヴァレンタインは馬車を待たせてある方向へと歩き出した

大きな花束を持つクリスと超イケメンのヴァレンタインが並んで歩けば、注目の的だった


だがそんな人の目も気にならないくらいクリスは喜んでいた


「嬉しい!お部屋に飾りましょ♪」


まさかクリスがこんなに喜ぶとは思っていなかったヴァレンタインは、そんなクリスを見て自分も嬉しくなった


街の人々の視線が集まる中、ヴァレンタインは違和感を感じた

好奇心の視線とは違う、敵意のある視線が混じっているように思えた


「クリス、そこの噴水に座って待ってろ

馬車を呼んで来る」

「え?私は大丈夫よ

馬車が停まっている所まで歩くわ」


ヴァレンタインは少し考えてクリスに近づくと耳元で何かを伝えた

するとクリスは頷くと

「じゃあ、ここで待ってる」

「ああ、大人しく待ってろよ」


そう言うとヴァレンタインはクリスから離れ、雑踏の中へ消えていった

ヴァレンタインの後ろ姿を見送ると、クリスは噴水に縁に座りヴァレンタインが戻ってくるのを待つのだった


噴水は広場の中心にある

そしてその噴水を中心に円状に木が植えられ、その木の向こう側には噴水の方に入口を向けるように建てられた商店が噴水を取り囲んでいた

商店は噴水を中心に1列2列と円状に立ち並び、先程行っていた花屋は4列目、5列目あたりにある店だった


ここには商店ばかりではなく、宿屋や礼拝堂なども立ち並んでいる


礼拝堂は大きな建物で、誰でも出入り可能な場所だ

だが今、明らかに立ち入ってはいけないであろう場所に人影があった


礼拝堂の大屋根に男が2人、身を潜めている

「おあつらえ向きだ、噴水に座ったぞ」


1人の男は持っていた弓矢を射る準備を始め、もう1人の男は見張り役なのか辺りを気にしていた


「可愛らしい顔をしているが魔法使いだそうだ」

「殺すにはもったいないな」


2人はクリスを見た


「正面切って襲ったらこっちがやられちまう

弓で射るのが確実だな」

「外すなよ」

「大丈夫だ

噴水の周りは風もないし、外すような距離じゃない」


男はそう言うと弓に矢を装着して弦をギリギリと引いた


「止めておけ」

「何言って…」

弓を射ようとクリスに意識を集中していた男は、先程まで話しをしていた男と声が違う事に気が付いた


大きな弓矢だが、男は声がした方へ一瞬で弓矢の向きを変えた

するとそこには先程までターゲットの魔法使いと一緒にいた男が、仲間の男の頭を脇に抱えるように立っていた


ヴァレンタインに抱えられている男はジタバタ暴れている

「邪魔くさいな」


ヴァレンタインが抱えている男に視線を向けたその瞬間に、弓矢を構えていた男は矢を射た

だがその矢はヴァレンタインに当たる事なく、全く見当違いの方向へと飛んでいった


男が矢を射ろうとした時にヴァレンタインはもう1人の男を抱えたまま、男の間合いまでつめるとドカッと一蹴りしたのだ


蹴られた男の手から離れた矢は遥か彼方へと飛んで行き、男は蹴られた勢いで屋根をごろごろと転がり落ちていった

「うわあぁぁぁ」


男は叫びながら屋根から姿を消してしまった

下へ落ちたのだ


「あ…、まぁいいか」

ヴァレンタインは男を抱えていない方の手を頭に当てた


  ♪♫♬  ♬♫♪


屋根から落ちた男は体中の痛みで目を覚ました

起き上がろうとするが、体が痛くて起き上がれない


倒れたまま辺りを見回すが、どこかの建物の中のようだが真っ暗でよく見えない

どうやら気を失っている間に、どこかへ運ばれたようだ


一緒にいた男の姿はない

殺されたのか?


そう考えた時、どこからか女の声がした


「気が付いた?」


自分が倒れている場所から、その声の主である女の姿は見えない


「なぜ彼女を狙ったの?」

「…」

「誰かに頼まれた?」

「…」

「答える気がない?」

「…」


するとコツコツと近づいて来る足音がした

暗闇の中にうっすらと人を確認出来るくらいの距離に来た


「もう一度聞くわ

なぜ彼女を狙ったの?」

「…」


女は「ふう」とため息をこぼした

「時間の無駄ね」


どうするつもりだ?

拷問にでもかけるつもりか?

だがシルエットは細身の女性だ

そんな女が男を拷問出来るだろうか?


すると女の横に大きな影が現れ、何か2つ光っている

何かはわからない


それはゆっくりと近づいて来た

少しづつ、少しづつ近づいて来る


大きさは女の身長より高い

そしてようやく見える距離まで近づいて来た


「ひっ!」


大きなネコ科の魔獣だ

顔だけでも自分よりはるかに大きく、光っていたのは魔獣の目だった


「これが最後よ

答えなければこの子に食べさせるわ

なぜ彼女を狙ったの?」


男は怯えている事がバレないように必死で平静を装い、そして質問には答えなかった


「いい度胸ね」

女はそう言うと魔獣の首の辺りに手を当てた


「いいわ、食べなさい」


女の許可が下りて、魔獣はギロリと男を睨んだ

「ひっ」


次の瞬間、魔獣がとびかかってきた

「うわあぁぁ!」


暗闇の中でその様子を見ていたエリザベスはくすっと笑うのだった


ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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