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20話 相思相愛

ヴァレンタインは庭園の奥にある池の側の東屋にいた


東屋には正方形のテーブルと4脚の椅子、そしてベンチがある小さな東屋だ

ヴァレンタインはベンチに横になり眠っていた


「あっ!いたわ」


エレンの声でヴァレンタインは目を覚ました

ムクリと起き上がるとエレンとリチャード、そしてクリスがこちらに向かって歩いていた


「どうした?」

ヴァレンタインはベンチに座ったまま、東屋に入って来た3人に聞いた


クリスは少しモジモジしながら話し始めた

「ヴァル…その…国王陛下から婚約のお祝いの品が届いたの

どうしよう?」


ヴァレンタインはキョトンとした


ヴァレンタインのそんな表情を見て、クリスはハラハラした


ああ、ほら

何でそんな物が届くんだって顔してる~

受け取ると迷惑だから返せって言うよね


ヴァレンタインは立ち上がるとクリスの前まで来た

するとクリスの頭に手を乗せてポンポンと叩いた

「俺達のお祝いの品なんだろ?受け取ればいいじゃないか」


クリスは一瞬フリーズしたが「えっ!」と言うと、ヴァレンタインを見上げた


「国王がお祝いの品を送って来たって事は俺達の婚約が正式なものと認められたんだろ?

何か問題でもあったか?」


クリスは再びフリースした

そんなクリスにヴァレンタインは「?」となっている


「ほら、クリスちゃん

ヴァレンタインくんもそう言うんだから」


クリスの背後でエレンがそう言うと、クリスはギギギと首を後ろに向けた

「そ、そうですね」


エレンはニッコリ微笑むとリチャードの腕を取った

「リック、せっかくだから散歩して行きましょう」

「そうだね」


エレンとリチャードはそう言うと東屋から出て行ってしまった


ヴァレンタインは再びベンチに座ると

「わざわざ3人で来るような事か?」

と不思議そうだ


「ヴァルはいいの?

その…私と婚約する事」


クリスの問いにヴァレンタインは不思議そうな顔をした

「俺達が婚約する事に何か問題でもあったか?」

「そうじゃなくて、私でいいのかって事」


ヴァレンタインはクリスの左手を取り

「クリスだからいいんだ」

と言うとクリスの左手にキスをした


ぼん!とクリスの顔は真っ赤になってしまった


「ヴァ、ヴァル」

「うん?」

「クアァ!」


突然、東屋の外からカラスの鳴き声がした

驚いたクリスが鳴き声がした方を見ると、東屋の窓にカラスが留まっている


「る、るっ、ルーベン!」

カラスに見られていた事に驚いたクリスは言葉が続かず、口をパクパクさせた


ルーベンと呼ばれたカラスは普通のカラスより一回り大きく、爪は鷹のように鋭い


ルーベンはフン!とした態度を取ると

「ベスはどこだ?ベスに呼ばれたんだ」

と聞いて来た


ヴァレンタインはクリスの手を離すと、ルーベンに向かって歩き出した

「ベスか?屋敷にいるはずだぞ」


そう言いながらルーベンの留まっている窓まで来ると、ヴァレンタインはごん!とルーベンの頭を殴った

「いてっ!」

「お前、わざと邪魔したな?」

「ち、違う!」


ヴァレンタインは更に(くちばし)をつまむと、上下に引っ張った

「いや、絶対にわざとだ

それで皆に言いふらすつもりだったな」


「グアッ!グアッ!」

ルーベンは嘴を引っ張られているので喋れない

羽をばたばたさせて抗議した


「何かあったの?」

ヴァレンタインとルーベンのやり取りを止めようと、クリスが声を掛けた


「グアッ!ガー!」

ルーベンは羽でヴァレンタインの手をばさばさ叩いているので、ヴァレンタインは仕方なく手を放してやった


「いや、ベスに呼ばれただけだ」

ようやく喋れたルーベンは羽で器用に嘴をさすった


ルーベンは魔獣だが情報通なのでエリザベスは度々利用していた

恐らく怨念の事を調べさせる為に呼んだのだろう


「だがいいものが見れた

まさかヴァルとクリスが結婚するとはなぁ」

「やっぱり言いふらす気だな」


ヴァレンタインは再び嘴をつまむと上下に引っ張った

「グア!ガー!」

ルーベンは必死に抵抗している


何だかんだとクリスとヴァレンタインの婚約は正式に決まってしまった

クリスは両手で火照った頬を押さえている


私、本当にヴァルと婚約しちゃったんだ


そう考えると、頬はさらに熱を帯びてしまうのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


ヒラヌルは王妃の私室を訪問した


部屋に入るなり、泣きながら王妃に抱き着いた

王妃は侍女達を下がらせると、ヒラヌルと一緒に長椅子に座った


「私…想い合っている方がいて…

父上様にその方と婚約したいとお願いしたのです

ですが…」

ヒラヌルはグスングスンと泣いている


王妃はため息を漏らした

事前に国王から事の顛末を聞いていたからだ

思った通り、ヒラヌルは母親である王妃に泣きついて来た


「ヒラヌル、その事は国王陛下から伺っています」

王妃の言葉に、ヒラヌルは驚いて顔を上げた


「レイメント伯爵は魔法使いです

魔法使いと王族は結婚できません」


王妃の言葉にヒラヌルはショックを受けた

まさか王妃まで反対するとは思ってもみなかったのだ


「母上様!私達は愛し合っています!」

「たとえそうだとしても、魔法使いはダメです」

「なぜですか!?」


王妃はまたため息を漏らした

国王陛下の仰る通りの反応だ


「まず第一に王族が魔法の力を手にする事は危険だからです」

「そんな!」

「第二に魔法使いはその血を絶やさない為に王族以外との婚姻を結び、子孫を残すのです」

「なぜ王族はダメなんですか!?」


そんな事もわからないのか

甘やかして育てた為、思慮がない

王妃はショックを受けてしまった


「王族は貴族の頂点に立つ者です

そして国王陛下は全てを統べる方です

そのように権力を持つ者が魔法の力まで手にしてしまえば、もはや何をしても止める事は出来ません

そのような危険を避けるために王族は魔法使いとの結婚を許されていないのです」

「そんな…」


ヒラヌルはポロポロ涙を零した

「で、でも私が結婚すれば臣籍降下します

王族ではありません」


王妃は叱りつけたい気持ちを抑えるため、長い溜息をついてから説得を始めた

「たとえ臣籍降下しても貴女には王族の血が流れているのです

この婚姻は無理です、諦めなさい」

「ひどいです!」

ヒラヌルはわあっと泣き出した


王妃はヒラヌルの背中を撫でながら困り果ててしまった








ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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