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19話 婚約

ルガード国の王族が住まう宮殿にある庭園でヒラヌルは親しい令嬢達とお茶を飲んでいた


国王である父にヴァレンタインとの婚約をお願いして3日過ぎたが何の音沙汰もない

まぁクリスティーナとの婚約を破棄し、それから自分との婚約をするのだから時間が掛かっても当然か、と考えお茶を一口飲んだ


小さな丸テーブルには3人の令嬢を招いている

きっとこの令嬢達も自分がヴァレンタインのような美しい男性と婚約した事を知れば羨ましがるだろう


ヒラヌルはそう考えると、自然と笑みがこぼれてしまっていた


「ヒラヌル王女様は何か良いことでもおありになりましの?

先程からとても嬉しそうですわ」

「ええ、私も思っておりましたわ」

「あら、つい顔に出てしまいましたわね」


ヒラヌルは早くヴァレンタインと婚約したと言いたい

だがまだ国王からの連絡もないので、ここで先走ってはいけないと我慢した


「まだ正式ではないので皆さまにお話し出来ませんの

でもおめでたい事ですわ」


ヒラヌルの言葉に一人の令嬢は胸の前で手を合わせて叫んだ

「もしやご婚約がお決まりになりましたの!?」


来た!

ヒラヌルは満面の笑みを湛えた


「まあ!そうなのですね!それは喜ばしい事ですわ」


ヒラヌルは扇で顔を隠した

「また国王陛下からの通達はございませんが、もうしばらくすれば正式に発表されると思いますわ」


「まあ!どちらの殿方とご婚約なされるのですか?」

「それはまだ…」


令嬢達は残念そうだ

「仕方ありませんわね」

「でもルガード国はおめでたい事続きですわね」

「本当に!

昨日オルドリッジ家のクリスティーナ様のご婚約をお祝いされるのに、国王陛下自らお祝いの品を送られたとか」


え?

あの女の婚約?

ヒラヌルの表情が突然険しくなった


だが令嬢達はヒラヌルが扇で顔を隠しているので、その表情を伺い知る事は出来ない


「ベイル国の伯爵様とか聞きましたわ」

「ベイル国の伯爵?」


ヒラヌルが聞いてきたので、令嬢達は自分たちの持っている情報を喋り出した


「シャイフ様はお会いになった事があると仰っていましたわ

それはもう美しい男性だそうですよ」

「ええ、私も伺いました

確かお名前は…」


令嬢達が考えると、ヒラヌルは恐る恐る口を開いた

「ヴァレンタイン・リアム・レイメント伯爵ですか?」


ヒラヌルがそう言うと、令嬢達はぱあっと明るくなった

「そう!そうですわ!」

「お可愛らしいクリスティーナ様ととてもお似合いだと評判ですわ」


ヒラヌルはわなわなと震え出した


どういう事?

父上様にはあの女との婚約を破棄するよう頼んだのに


国王が婚約の祝いの品を送ったという事は、オルドリッジ家とレイメント家、両家だけの婚約ではなく国王も認めた婚約という事になる


怒りで震えいてるヒラヌルに気づかずに令嬢達はクリスとヴァレンタインの話題を続けていた

「国王陛下の御前会議での事なのでしょう

すごいですわね!

国王陛下が後見人になられたも同然ですわ」

「ルガード国は魔法使いが少ないので、国王陛下はその事も考慮なされたのではないでしょうか?

レイメント伯爵はとても優秀な魔法使いと聞きましたもの」

「本当に良い縁組ですわよね

ヒラヌル王女様のご婚約といい、喜ばしい事が続きますわね」


ヒラヌルはガタン!と席を立つと、勢いよく立ったので椅子が倒れてしまった

お喋りをしていた令嬢達は驚きヒラヌルを見つめた


「申し訳ございません、気分がすぐれないので部屋に帰りますわ」


突然のヒラヌルの言葉に令嬢達は更に驚いた

「た、大変ですわ!」

「誰か!王女殿下がご気分がすぐれませんの!」


楽し気なお茶会が一気に混乱の場へと変わってしまったのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


「国王陛下からお祝いの品が届いたのですか!?」

クリスは応接室でくつろいでいる父のリチャードを問いただした


「ああ、国王陛下がわざわざ賜れたんだよ」

「本当にヴァルと婚約した事になるじゃないですか!?」

「うん、そうだよ?」


それでいいのか、父!?


とクリスは心の中で突っ込んだ


「ヴァレンタインくんは素晴らしい魔力を持っている」

「で?」

「何より、お前を愛している」

「餌としてです」

「こんないい婿は願ってもないよ」

「娘が食べられますよ」


「そうですよ!」

リチャードの向かい側に座って話しを聞いていた母のエレンが声を上げた


良かった

お母さまが言って下されば、お父さまも考え直して下さるわ


クリスはほっと安心した


「ヴァレンタインくんはとってもハンサムです

うちのクリスちゃんのお婿さんにピッタリです!」


クリスは固まってしまった

援護が入ったと思ったら、まさかの敵だった


「お…お母さま」

「?」


ダメだ、この2人は

クリスはため息を漏らした


「ヴァルは魔獣ですよ?」

「過去に魔獣と人が交わらなかった訳ではない」


リチャードはスパッと言い切った


「クリスちゃんはヴァレンタインくんの事が嫌いなの?」

「違います!!」


大声で否定してしまった

クリスは赤くなった顔を下に向けると、小さな声で話した

「ヴァルはイケメンすぎて…

私とでは似合いません」


リチャードとエレンは顔を見合わせた

するとエレンは笑いながら

「クリスちゃんはそんな事、気にしているの?

クリスちゃんはとっても可愛いわよ?

それにヴァレンタインくんもクリスちゃんを好いてくれているわ」


エレンの言葉にクリスは驚いて顔を上げた

「ヴァルが私を好いている!?」


エレンはクリスに近づくと、クリスの両肩を抱いた

「そうよ、見ていればわかるわ

ヴァレンタインくんはクリスちゃんが大好きなの」


「…」


クリスはエレンの言葉にフリーズしてしまった

だがすぐにハッと我に返ると

「ヴァルは私を餌として好きなだけで…」

と呟くと再び下を向いてしまった


「クリスちゃん、ヴァレンタインくんはいつも『食べる、食べる』って言ってるけど、本当に食べると思っている?」


エレンの問いにクリスは首を横に振った


「ヴァレンタインくんは照れてそう言っているだけよ

だってクリスちゃんに近づく男はたとえリチャードでも許さないじゃない」


確かにそうだ

クリスはそっとエレンの顔を見た

「本当にヴァルは私の事が好きなんでしょうか?」


エレンはニッコリ笑うと、クリスの頭を撫でた

「じゃあヴァレンタインくんに国王陛下から婚約の品が届いた事を言ってみましょ

きっと文句は言うけど受け取るわよ」

「そうでしょうか…」


クリスはエレンの言葉に半信半疑だ


だが早速、エレンはクリスとリチャードを連れてヴァレンタインの元へと向かうのだった








ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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