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17話 怨念

「魔獣じゃないって、どういう事?」

クリスの疑問はヴァレンタインやエイブラハムの疑問でもあった


「私も…詳しくはわからないけど」

エリザベスは前置きして話し始めた


「植物じゃないかと思うの」

「「「植物!?」」」


3人は驚いた

当たり前だ

植物が人の形になり、魔獣のように人を喰らうなんてありえないからだ


もちろんエリザベスもそれはわかっている

だが

「植物にも意思のような物はあると言われるわ

ここからは私の憶測だけど…」


3人はうんうんと頷いた


「恐らく何らかの植物の側で人間か上位の魔獣が死んだのよ

しかもかなり強い怨念を残して」

「怨念…」


クリスはヴァレンタインに近づくと、ヴァレンタインの腕にしがみついた


「その怨念と植物が融合して強い意思を持つようになった

そして魔獣や人を次々と喰らい、力を付けていったんじゃないかと思うの」


エリザベスの考えにヴァレンタインがひらめいた

「そういえばあの触手のようなやつは植物っぽかったな」


エイブラハムはまだ納得いかない

「だけど切られた腕を繋げていたよ?

たとえ植物でもそれは無理だ」

「怨念の塊なのよ

基礎が植物ってだけで、怨念が強いの

身体はあってないようなものだわ」


エリザベスの説明にようやくエイブラハムは納得した

「なるほど…」

「それじゃあ、亜空間から出して来た男の人は?

あの人も植物なの?」


クリスの問いにエリザベスは少し困った顔をした

「たぶん植物だと思うけど…

意思のような物がなかったから、あの女とは違うタイプだと思うの

あの男はもしかしたらジュリアが造ったか、自分を分裂して造った物なのかもしれないわね」


「「「………」」」


皆、黙ってしまった

魔獣だと思っていたのに、まさかの怨念とは


「怨念だから執着がすごいのよ」

エリザベスはやれやれといった感じだ


「え?って事は…」

ジュリア(あのひと)、ヴァルに興味を持ってたわよね?」


エイブラハムとクリスはそう言うとヴァレンタインを見た


「………俺?」


エリザベスとクリスとエイブラハムは黙ってヴァレンタインを見つめた


「面倒くさ」

ヴァレンタインはため息をついてしまった


  ♪♫♬ ♬♫♪


4人が夜会の会場に戻ると、そこにはまるで何もなかったかのような顔をしたジュリアがいた


ジュリアは皇太子の愛妾なので、媚びを売る貴族達が群がっている


「…怨念なのに」

クリスがそう呟くと、エリザベスが側に来た


「怨念は邪な気持ちの人間が大好物なのよ

今の地位はそういった下心のある人間が寄って来るから好都合でしょうね」

「だから皇太子に近づいたのかな?」

ヴァレンタインが聞いた

「たぶんね」


エリザベスはボーイからシャンパンを受けとると一口飲んだ


怨念が人間の負の魂を好むのはわかる

たが

「クリスを美味しそうって言ってたのは?」

とエイブラハムは聞いた


「たぶん魔獣も相当、食べたんでしょうね

魔法使いを美味しそうって言うのは、魔獣の部分が出ているんだわ」


「入れ食い状態だな」

ヴァレンタインは呆れている


「クリスを食べてヴァルの悲しむ姿が見たいというのは、怨念の部分ね」

エリザベスはヴァレンタインを見つめながら、意地悪っぽい笑顔を見せた


悲しむ?

ヴァレンタインにとってクリスは餌なので、悲しむのではなく悔しがるではないだろうか?


クリスはそう考えたがどっちにしろ怨念には好物か、と考えた


「クリスティーナ様!」

シャイフがクリス達を見つけると声を掛けた


「先程は申し訳ございませんでした」

「いえ、そんな…シャイフ様のせいではありませんわ」


クリスは辺りを見渡すがヒラヌル王女の姿はない

「ヒラヌル王女はいかがされました?」


シャイフは困ったような顔をしてため息をついた

「相当、ご立腹されたようで

すぐにご退出なされました」

「そうですか」


クリスの表情が暗くなったので、シャイフは慌てて続けた

「ですがあれはヒラヌル王女が悪いですわ

クリスティーナ様の婚約者にちょっかいを出されていますのも

ヴァレンタイン様があのような態度を取るのは当然ですわ」

「ありがとうございます」


怨念の塊・ジュリアも不気味なのに、ヒラヌル王女には困ったものだ


「きっと国王陛下に進言なさるでしょうね」

「クリスティーナ様、王族と魔法使いは交わる事を禁じられています

まさか国王陛下がそれを無視してまでヒラヌル王女のご意思を尊重なさるとは思えません」

「そうですね」


ようやくクリスは笑顔になった

そんなクリスを見て、シャイフはホッとした


「もうヒラヌル王女はおられませんわ

どうか夜会を楽しまれて下さい」

「そうですね、ありがとうございます」


クリスがそう返事をすると、ヴァレンタインが声を掛けた

「クリス、あっちにお前の好きそうなお菓子があったぞ」

「えっ!?」


思わず態度に出てしまい、クリスは慌てて扇で顔を隠した

シャイフはクスクス笑っている


「どうぞごゆっくり楽しまれて下さいね」

「はい」


せっかくなのだから夜会を楽しもう

クリスはそう考えると、ヴァレンタインとお菓子を食べに向かうのだった


  ♪♫♬  ♬♫♪


宮殿ではヒラヌルが私室に戻ると、ベットに倒れ込み泣いていた


「私より少し早くヴァレンタイン様と出会っただけなのに」

侍女は困っているようだ


「ヴァレンタイン様だって困っていらっしゃるわ

あの女の手前、私には冷たく接するしかないのですもの」

「王女殿下…」


ヒラヌルは顔を上げると侍女を見た

「明日一番に国王陛下にお会いに行きます

あの女との婚約を破棄させて、私の婚約者にして頂きます」

「王女様…」

「ヴァレンタイン様だって喜ばれるわ

たかが侯爵との結婚より、王族との結婚の方が断然良いのですもの!」


侍女は王族と魔法使いが交わってはいけない事をわかっている

それなのに国王陛下にその禁忌を破ってまでそのヴァレンタインとかいう伯爵との結婚を望むとは

そしてヒラヌルはその願いが叶うと思っている


王女の愚行に侍女達が罰せられる可能性もあった

だがヒラヌルの命令は絶対だ

ヒラヌルを止めれば王族への反逆罪になってしまう


侍女の方が泣きたくなってしまうのだった








ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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