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107話 ゆっくり

クリスとヴァレンタインは湖の畔にある東屋へ向かって手を繋いで歩いていた

しばらくすると東屋が見えてきて、その中にはエリザベスがいるのが見えた


東屋の中には正方形のテーブルと4脚の椅子ある

湖側にはベンチもあるが、今エリザベスが座っているのは正方形のテーブルの方だった


テーブルの上にはお菓子が準備され、エリザベスは一足先にお茶を飲んでいた

「ベス達もお散歩?」

クリスは東屋に入りながら声を掛けた

「ええ」

エリザベスは隣に座っているレジナルドを見つめると、レジナルドはエリザベスを見つめながらテーブルの上でエリザベスの手を握り微笑んだ


ヴァレンタインはエリザベスの隣へとクリスをエスコートすると、自分はクリスとレジナルドの間、エリザベスの正面に座った


「エミリー、二人にお茶を淹れてあげて」

「はい、奥様」

エリザベスが声を掛けると、エミリーはテキパキと他の侍女に指示を出し始めた


エミリーはエリザベスがレジナルドの城に滞在していた時の側使えの侍女だ

もともとこの屋敷の使用人は全てエリザベスとヴァレンタインの使い魔だったので、レジナルドと共にやって来た使用人達はエリザベス達の屋敷で使い魔に代わり働く事となった

スコットは執事長を務め、エミリーはこの屋敷の侍女長を務めている


「新しい屋敷を見て来たのかい?」

レジナルドがお茶のカップを置き、ヴァレンタインとクリスに聞いた


「はい、リアム老がとても張り切っていました」

クリスが答えると、レジナルドはくすっと笑った

「リアムだけじゃないだろう

ドワーフは物を作ることが大好きなんだ

皆、生き生きとしてるだろう」

「それはいいけど、今暮らしている屋敷をリフォームするって言い出したのもリアムでしょ?」

「そうだよ」

エリザベスはレジナルドの返事を聞くと「ふーっ」とため息を漏らした

「ベス、何か都合が悪いの?」

クリスが心配になって聞いた

「いえ、ドワーフ達は限度を知らないから…

とても手の込んだ屋敷になるわよ」

「そ、そうなの?」

クリスはドワーフの創造意欲を知らないので、ちょっと引いてしまった

「でもわざわざ屋敷を建ててくれなくても良かったのに」

「いいのよ

急に人が増えたからちょうど良かったのよ」

エリザベスはそう言うと再びお茶を飲んだ


この屋敷はもともとエリザベスとヴァレンタインが2人で暮らしていた

4年前からクリスも一緒に住むようになり、今ではレジナルドやレジナルドと共に来た使用人達で一気にこの屋敷の人口は急増したのだ


もともとの屋敷はエリザベスとレジナルドが使い、新しく建設中の屋敷にはヴァレンタインとクリスが住む

屋敷を統括する執事長のスコットはレジナルドの居る屋敷を、ヴァレンタイン達の住む屋敷はスコットがレジナルドの城で自分の補佐をさせていた者を執事として配置する

同じようにエミリーが侍女長を務め、レジナルドの城でクリスの側仕えをしていた侍女が新しい屋敷の侍女長となる


他の使用人も新旧の屋敷に上手く分担するが、今は皆もとからある屋敷にいた

違う土地に来たのだから、まずは慣れてもらわねばならない


「ここにいたのか」

真っ黒なカラスの魔獣・ルーベンが東屋の窓にバサリと留まった

「あ、ルーベン!

お久しぶりね」

クリスが声を掛けると、ルーベンは「よっ」と翼を手のように上げた


「今日はどうしたの?」

「レジナルドにクラーク国の様子を見てくるように頼まれてたんだ」

レジナルドはルーベンの方を向くと

「それで、どうだったかな?」

と聞いた


「レジナルドの城に居た連中はバラバラになったけど、それぞれ上手く暮らしてるよ

同族の連中は組んで生活したり、もともと単独行動のヤツは一人で上手くやってたよ」

ルーベンの報告を聞き、レジナルドは少しほっとした顔になった

「そうか、皆上手く暮らしているんだね

急だったから心配だったんだ」

「だけどあっちこっちで魔法使いの使い魔を見たぞ

レジナルド、お前さんを探してるようだった」

ルーベンの話しを聞きながらエリザベスは涼しい顔でお茶を飲んだ

「魔獣達から土地や人間を守れないから、レジにまた魔獣達を統べさせたいのね」

「なら最初っから契約を反故しなきゃ良かったのに」

ヴァレンタインは呆れている


「奴ら血眼になってレジナルドを探してるぞ」

「ばっかだなぁ

どんなに探してもレジはもうクラーク国にはいないし、もしベイル国まで探しに来てもこのベスの結界に近づく事も出来ない

どんなに探してもレジを見つける事は出来ないのに」

「その努力を他の事に向ければ良いのにな」

ヴァレンタインの言葉を受け、レジナルドもため息混じりで呟いた


レジナルドは仲間にはとても優しくそして守ってくれるが、そうでない者には全く興味を持たない


ネコ科だからか?それとも白豹だから?


クリスはどっちだろうと考えた


これからは長い長い時間、エリザベスとヴァレンタインとレジナルドと暮らす事になる

ネコ科独特の習性なのか、それとも個人の性格なのか…

おいおいわかってくるだろう


3人だけだった屋敷も今では賑やかだ

これからは皆でゆっくりと過ごしながら、たまに羽目を外した魔獣を引っ越しさせたり退治もしたりして4人で共に時間を過ごしていこう


美しく気高い金色の魔獣

そして強く優しい白豹と共に

ゆっくり、ゆっくりと…




ご精読、ありがとうございました


この後のお話しも書いて行きたいとは思いますが、タイトルと内容が合わなくなるのでここで一旦おしまいにしました


もし早く続きが読みたいなどのご要望があれば、なるべく早めに投稿したいと思います


ひとまずは拙い小説ではありましたが、お付き合い頂き本当にありがとうございました


またよろしくお願いします(*´ω`*)


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