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102話 絶望

「ド、ドロレス様っ!!」

荒々しくドアを開け、ニコルがドロレスの寝室に飛び込んで来た


まだ眠っていたドロレスは腕で目を隠した

「何なんですか、ニコル

失礼ですわよ」

「も、申し訳ございません

ですが…その…」

ニコルがオロオロしているので、ドロレスはようやく半身を起こした

「どうしたんですか?」 

「そ…それが…誰もいないのです」

「は?」


朝っぱらから何を言っているのだろう


ドロレスは困惑した


「誰もいないとは、どういう事ですか?」

「それが…私が起きる時間になっても誰も来ないので不思議に思い侍女を呼んだのですが誰も来なくて…」

「呼び鈴が壊れているのでしょうに」

ドロレスは呆れてしまった

そんな事で叩き起こされるとは思ってもみなかった


だがニコルは青ざめている

「私もそう思い、部屋から出て侍女を呼んだのですが誰も来なくて…

侍女達がいる部屋にまで探しに行ったのですが、誰一人いないのです」


そんな事はあり得ない

だが何かあったのかもしれない

「仕方ありませんわね」

ドロレスはゆっくりベットから降りた

「何か羽織る物を」

ドロレスがそう言うと、ニコルはクローゼットからショールを取り出し、ニコルの肩に掛けた


ドロレスはショールを握りしめると

「食堂へ行ってみましょう

朝食の準備で誰かしら居るでしょうから」

「そ、そうですわね」

ドロレスにそう言われ、ニコルは少しホッとした表情で頷いた


2階の食堂へとやって来たドロレスとニコルだが、ここに来る間も誰とも会わなかった

更に食堂のドアを開ける召使いもいない


確かにおかしかった

何かあったのかもしれない


ニコルが食堂のドアを開け、ドロレスが食堂に入るとクリスが正面に立っていた

「クリスティーナ様」

クリスの名を呼んだドロレスの後ろにいたニコルはクリスの姿を見てほっとした


ドロレスはクリスに近づきながら辺りをキョロキョロ見渡すが、召使い達の姿がなかった


「クリスティーナ様、何かあったのでしょうか?

召使い達の姿が見えませんが?」


クリスは表情を変えずに答えた

「この城には誰もいません」

「は?」

ドロレスは顔をしかめた


「クラーク国王陛下がレジナルド様との約定を反故したので、レジナルド様はこの地を去りました」

「…何を仰っているのですか?」

ドロレスは険しい顔でクリスを睨んだ


「レジナルド様に仕えていた魔獣達は、レジナルド様と行動を共にする者、離れて行く者と様々でしたが、皆この城から出て行きました」

「では、今この城に居るのは私達とあの生意気な女とその弟だけと仰るのですか?」

ドロレスは不信感を露わにしている

そんな事が起こるはずがないと思っていた


「いえ」

クリスが否定すると、ドロレスはやはりね、と安心した


「この城に居るのはドロレス嬢とニコル嬢だけです」


クリスの言葉にドロレスとニコルは固まってしまった

「…私達二人だけ?」

「はい」


ドロレスとニコルは顔を見合わせた

するとドロレスはぷっと笑い出してしまった

「何を仰っているの!?

クリスティーナ様もここにいらっしゃるではありませんか!」


クリスは寂しそうな笑顔を見せた

「私は使い魔です」

「…え?」

笑っていたドロレスだが、ピタリと止まった


「レジナルド様がこの地を離れたので私達も国に帰りました」

「何ですって?」

ドロレスはショールを握っている手に力が入ってしまった


「私達がこの城を去る時にレジナルド様はお二人の事は放っておけと仰いました

ですが私は同じ人間として放っておく事が出来ずに、この使い魔を残したのです」

「………」

ドロレスとニコルは青ざめ、冷や汗も流している

だがクリスの使い魔は構わずに話しを続けた


「統率のなくなった魔獣達にとって人間、しかも魔法使いはご馳走です

このままでは間違いなくお二人は魔獣に喰われるでしょう

なので私が今、結界を張って魔獣の侵入を防いでいます

その間にお二人はご実家に使い魔を放ち、救出のお願いをして下さい」

ドロレスはショールを握りしめている手が冷たくなるくらい握りしめていた

ニコルもガタガタ震えている


「私は結界を練習していなかったので、この結界は長くは保ちません

少しでも早い救出をお願いして下さい」

「そ…そんな…!」

ニコルは恐くなり、ドロレスにしがみついた

「そ…その結界はどれくらい保ちますの?」

青ざめているドロレスが何とか聞いた

「10日…いえ何事もなくても8日程度かと」

「8日!?」

「ドロレス様!?」

ドロレスの驚きにニコルが不安になった

「すぐに使い魔を放っても首都まで1日…

お父様が国王陛下に騎士団の派遣の許可を頂いて出発の準備をして…その準備たけでも早くて1日…

首都からこの城まではどんなに急いでも5日はかかります!」

ドロレスがクリスにすがるように叫んだ

だが使い魔のクリスは表情を変えずに首を横に振った

「それはレジナルド様によりこの地が安定していて、の話しです

騎士団がこちらに向う間にも魔獣に襲われる可能性もあるでしょう

そうなれば到着は更に遅れるかと」

「そんな…!」

「使い魔には騎士団と必ず魔法使いも同行させるように伝えさせて下さい」


ニコルはすがるようにクリスの両手を握った

「我が国の魔法使いは魔獣に太刀打ちした事がありません!」

「はい、伺っています

ですがいないよりはマシかと」

「クリスティーナ様が結界を張っている間に一緒に首都へ向かった方が確実ではありませんか!?」

ニコルの提案にドロレスもはっとした

「そ、そうですわ!

それが良いですわ」

だがクリスは寂しそうな顔をした

「私は馬車を操れません

どちらか馬車を操れますか?」

「そ、それは…」


出来るはずもなかった

貴族の令嬢が自ら馬車を操る事など皆無だ


「それに先程も申し上げましたが、私は結界を学んでいません

今はなんとか張っていますが、強い魔獣では破られてしまうでしょう

もし移動中に結界が破られれば周りには何もなく、それこそお二人は助かりません

ですがこの城ならば、私が消えても魔獣達に見つからないように身を潜める場所があります」

「そんな…」


ドロレスとニコルはガタガタと震えて動けなくなってしまった

このクリスの使い魔が結界を張っている間に救助が来てくれるだろうか?

その救助に来る騎士団も魔獣相手に戦い、この城まで来れるのだろうか?


この絶望的な状況にドロレスもニコルも何も出来ないのだった





ご精読、ありがとうございます

m(_ _)m


次話もよろしくお願いします!

。◕‿◕。

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