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ソバカス顔のパン屋さん

作者: 上下佐

 私はパン屋、屋台のパン屋、やっと持てたお店は道の奥、仕方ないので屋台を出した。

 近くの道に屋台は無い、騎士様に怒られたけどなけなしのお色気が効いたとは思えない。

 お客さんが騎士様に文句を言っていたけど大丈夫かな。

 許可証を見ながら昔を思い出す。


 一緒にやろうと言ってくれた彼は朝三時起きに耐えきれなかったみたい。

 もうすぐ二十四歳の誕生日、自分に思うことは特にない。


 騎士様は毎日来てくれる、見回りのついでに買ってくれる、もう一年。

 そばかすを隠したくて少し俯く、赤髪を隠したくて頬かむりをする。

 一度忙しくて三つ編みが出来なかったときに怒ったみたいにぶっきらぼうにされた。


 最近できた柔らかいパンは皆喜んでくれるから頑張ってしまう。

 お客さんが騎士様の話をしてくれる、今日は三隊配備で少し遅いそうだ。


 いつもパンを買うときに二言三言会話するけど一昨日に少し喧嘩した。

 皆が褒めてくれるパン、頑張って沢山作っているのに、手を腫らして練っているのに。

 注文をされた、知らないくせに、生地の管理もしたこと無いくせに。


 家に帰ってふてくされていた。

 町の人が騒がしい時間に寝床に着く、何時ものように、又悔しさがこみあげてくる、涙が出てしまう。


 窓の方で音がした、近所の猫が良く来る、何かが壊れる音がした。


 何てこと、何てこと、何て日なのか。

 春の風を入れたくて少し開けていた窓に有った二人で買った陶器の人形。


 あんなに頑張ったのに、毎日頑張ったのに、欠片を拾いながら涙が止まらなくなった。

 サラちゃんごめん、柔らかパンのヒントをくれた十歳くらい女の子を思い出す。

 すっごく怖い目に遭ったのと、ニヘラと笑った。横の女性が青い顔をしていた。


 ああ、何かが腑に落ちた。自分が弱っていたと気が付いた。


 頑張ったじゃない!、頑張るんだ、生きることに昨日は関係ない。


 昨日注文どうりのパンを売ってやった、何も練りこまないパン、バターが手に入るからと小麦の味が確りした方が良いと言われたパン。


 今買ったパンを子供と分けて食べながら帰っていく親子を見ている。

 至福の時間。


 角に白い服を着た騎士様が現れた。


 感想を聞こうじゃないか、言いがかりをつけたら辛子をかけてやる。


 なんだ?、その花束。

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