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地下牢の謁見交渉

王城に戻って、王座の間にいるはずの王女へと謁見するために廊下を歩く。 

 俺は王座の間の部屋の扉を開けた。

 軋んだ扉の音で中にいた玉座に座るアルナ王女と宰相のクレアスがいた。


「おや、これはこれは勇者殿。何か用事ですかな? 今はあなたの作戦であった他国との同盟に対しての文書についての題材の考案会議中です」

「他国の反応がうまくいっていないんだろう」

「そんなことはありませんな。何を根拠に……」

「外で傭兵何人かを見て思った判断だ」


 クレアス宰相が口を噤み、居心地悪そうに苦虫でもかみつぶしたような表情を浮かべる。


「クレアス宰相、あなたの負けですわよ。下がっていなさい」

「しかし、王女殿下! この案件は彼らの……」

「クレアス宰相をつれて外への活動に行ってくださいミレイ」

 

 長い黒髪に金髪のメッシュが入った特徴ある長髪をなびかせる一人の騎士が突然と虚空から姿を現す。

 まるで忍びのような登場の仕方に驚いた。


「承知しました殿下」


 突然とその現れた騎士がクレアス宰相をつれて部屋を出ていった。

 残った俺たち3人は対面して俺は大きく息を吸って頭を下げた。


「先に王女殿下には謝罪を述べさせてもらいたい。すまない」

「突然ですわね。どういうことですの?」

「実はこういう状況になることは想定内ではありました。他国の反応がうまくいかないことは想定していたのです。さらに言えば、この最初の作戦はあくまでこの国内部にいる潜入している他国の偵察兵をあぶり出すことを目的としていました」


 この作戦は最初からすべてを一つのことで完結させるようにはできていないのは明白であるもの。

 まずは世界の状況をかき乱すための一つの作戦にしか過ぎなかったのだ。

 王女は意外な俺の反応に笑う。


「何を謝るんですの? このことに対して私たちはもうなにも文句を言う筋合いはありませんわ。それに契約にあった通りのことを私たちは行うべきだけですわ」

「そう言ってもらえると助かります」

「まぁ、でも、一言も謝罪がなければさすがの私も憤慨していたかもしれませんわね」


 にこやかな笑顔で返す王女の反応に少しばかり背筋が凍りついた。

 さすがにすべてを伏せたことはよろしくなかった。

 俺はそっと雪菜の様子も見てみれば彼女もちょっとむくれた顔で怒っていた。


(彼女にも事前に伝えておくべきだったかな)


 俺は謝罪を続けて行う。


「本当にすまない。そして、今からある2段階目の作戦を不承不承ながら了承してもらいたいたためにここに来た」

「何を頼むというんですの?」

「地下牢の傭兵と謁見させてほしい」


 すると、王女は玉座から席を立った。


「正気ですの!? 危険ですわよ!」

「わかってる。謁見は可能ですか?」


 少々作戦の荒さを自覚しながらも話を進める。


「謁見してどうするんですの?」

「ある他国の傭兵が今は牢屋にいるはずだ。その傭兵を使い、好意的に他国へ情報を流すように状況を作る」

「まさか、その傭兵というのは……」

「そう、例の魔王の傘下であったあの女だ」


 そのことに対して王女殿下はあまり良い反応を示さない。

 まあ、国を滅ぼしに来た諸悪の根源を利用するなど前代未聞の行いだろう。


「勇者様にもこちらから報告をいたしますが情報を流すことには一部の冒険者は実行しましたわ。だけど、あくまで少人数のみでうまく国へその情報の噂は入っていませんわ」

「だと思ってるさ。だから、まずはギルド内の変革も起こさないとまずいのもわかってる。都合のいいことにこの国はギルドなどの商業があるのは世界で一番なんだろう?」

「そうですわ」

「なら、都合の良いことへと動くかもな」

「あなた何をするつもりですの?」

「だから、変革だよ」

「戦争に繋がりませんわよね?」

「それどころか、この国に勇者や傭兵が多く集まるさ」

「はい?」

「味方につけることさえできるようにするさ」


 王女は混乱した面持ちで俺を見ていた。

 ただ、自分の頭の中にある作戦を口にはしない。


「とりあえず、この件はまだ口に出せない。その前に謁見を許してくれ」

「何をお考えなのかはわかりませんが命の保証はできませんわよ」


 それは遠回しな了承の意味だった。


「ですが、こちらも提案をいたしますわ」

「なんだ?」

「騎士を一人つけさせてくださいませ」


 彼女の申し出に否定意見などなくこちらからとでもおもうくらいだった。

 王女に呼び出され、部屋に入ってきたのは一人の騎士。

 先ほど宰相を連れていった女騎士だった。


「ミレイ・アンディーヌ、一応我が国最高の戦力を誇る騎士団の団長ですわ。彼女が謁見の同伴につけるのであれば許しますわ」


 一人の女騎士の同伴の許可のもとで謁見の願いは叶ったのであった。


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