表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クソゲー配信で、大人気Vtuberになってもいいんですかっ!?  作者: 端桜了/とまとすぱげてぃ
第二章 なんで、クソゲーなんてやるんですか?
20/141

やったー! 転職だー!!

転職案内ジョブ・ガイドを表示するね、お姉ちゃん!」


 特徴的な効果音(SE)とともに、ウィンドウが表示される。疲弊しきったボクの視界に、職業案内ジョブ・ガイドが浮かび上がった。






【戦士】

役割タイプ:TANK/Van-DPS

特化能力値:耐久(VIT)筋力(STR)

転職必要値:筋力(STR)5以上

職技能ジョブスキル:揉め事専門

能力報酬ステータスボーナス耐久(VIT)+5、筋力(STR)+5、

解説:闘争をかてに生きる武装民族。幻影平原ファンタズム・フィールドにて、モンスターを相手取り戦いに明け暮れている。食事・性交・睡眠よりも戦闘を重視しており、餓死・絶滅・眠断を招きかけている。






【騎士】

役割タイプ:TANK

特化能力値:体力(HP)耐久(VIT)

転職必要値:耐久(VIT)5以上

職技能ジョブスキル肉盾ミートシールド

能力報酬ステータスボーナス体力(HP)+50、耐久(VIT)+10

解説:遺城カストルムに服している妄臣ぼうしん簒奪さんだつされた王座に縋り、かつて、栄華を誇った王国の夢に浸る。忠を尽くした王は死に、愛した民は失われ、守護という名の妄執だけが残った。






【治癒師】

役割タイプ:HEALER

特化能力値:筋力(STR)

転職必要値:賢さ(INT)5以上

職技能ジョブスキル:来世に期待♡

能力報酬ステータスボーナス筋力(STR)+10

解説:戦場を駆け回る慈愛の女神。かつて、各国間の分断を招いた独立戦争にて、数多くの命を救った一流の傭兵集団。彼/彼女らのお陰で命を救われた者たちは、口々に『天使を視た』と言ってはばからない。






【射手】

役割タイプ:Ran-DPS

特化能力値:器用さ(DEX)

転職必要値:器用さ(DEX)5以上

職技能ジョブスキル:フリーシューター

能力報酬ステータスボーナス器用さ(DEX)+10

解説:祖種(エルフ)より受け継ぎし秘技を用いて、弓矢きゅうしを手足のように操る者。彼らの影を視た瞬間に、音もなく射抜かれ、姿を視ることなく即死する。一部の国では、影歩きとも称される。






【魔術士】

役割タイプ:Ran-DPS

特化能力値:魔力(MP)賢さ(INT)

転職必要値:賢さ(INT)10以上

職技能ジョブスキル術解スペル

能力報酬ステータスボーナス魔力(MP)+50、賢さ(INT)+10

解説:かつて、人類と敵対したことで、絶滅した魔術師の“血”を受け継いだモノ。その姿は、人のようで人ではない。この世のことわりを覆すことで、しきすらも裏返し、あの世のすべすらも解する。






【魔物使い】

役割タイプ:検閲制限

特化能力値:検閲制限

転職必要値:検閲制限

職技能ジョブスキル:検閲制限

能力報酬ステータスボーナス:検閲制限

解説:検閲制限






【付与術士】

役割タイプ:検閲制限

特化能力値:検閲制限

転職必要値:検閲制限

職技能ジョブスキル:検閲制限

能力報酬ステータスボーナス:検閲制限

解説:検閲制限






【忍者】

役割タイプ:検閲制限

特化能力値:検閲制限

転職必要値:検閲制限

職技能ジョブスキル:検閲制限

能力報酬ステータスボーナス:検閲制限

解説:検閲制限






【侍】

役割タイプ:検閲制限

特化能力値:検閲制限

転職必要値:検閲制限

職技能ジョブスキル:検閲制限

能力報酬ステータスボーナス:検閲制限

解説:検閲制限






「……こわい」


 まともな職業ジョブ解説を前にして、ボクは震えている。


「たいしたツッコミどころがないところが……こわい」


 なにせ、このファイナル・エンドは、超弩級のクソゲーである。ついさっきも、美少女の往復ビンタで殺人教唆を受けたばかりだ。


 ――大人おとなひと一緒いっしょんでね


 呪いの言葉が脳裏をよぎって、ふつふつと、煮えたぎるような怒りを覚える。


 あんな説明文を付け加えるようなクソゲーが、まともな職業を用意しているとは思えない。恐らく、この中の数個は糞職いつものだ。『☆なにがでるかな?』レベルの職業技能ジョブスキルがあってもなんらおかしくはない。


「みんな、コレ、どれが正解なの……?」

『ファイナル・エンドをやめるのが正解』

「当たり前のことを我が物顔で言うな♡ ブロックするぞ♡」


 視聴者リスナーは、役に立たないと即時に判断する。


 額から汗を流しながら、ボクは、職業一覧ジョブ・ガイドを前に唸り声を上げた。両目を左右に動かして、どこかにヒントがないかと探し回る。氷河期世界ファイナル・エンドにおいて、誤ちや失敗は死を意味する。


 どこだ!? ボクを導いてくれる導師はどこにい――おすすめ職業は、『戦士』だよ!


天啓(New World)……!」


 そうだ、ボクには力強い味方がいた。


 御心・ファッキン・妖華……チャンネル登録者数120万人を誇る大人気Vtuber、このクソゲー世界でまともな頭をもった女性。


 脳と糞が直結されておらず、『なんで、○○なんですか?』という質問に対して『ファイナル・エンドだから』以外の回答を導き出せる才媛。


 信じよう、彼女を。


 ボクは、このクソゲーを通じて、人間の醜さを学んだ。誰も彼もが悪魔の面をしていて、地獄にいざなってくると思っていた。


 だが、きっと、そんなことはない。


 人間の本質は、“善”だ。だって、ボクらは光の下で生きている。


 人間ヒトは、チカラによって成り立ってきた。闇の中には身を置かず、あたたかな光明に生を見出した。


 だったら、信じるべきだろう。


 人の、心を。その、善を。


 ボクは、正しい人間でりたい……だから、この答えを選ぶ。


「『戦士』に転職しまぁす!!」

「は~い! じゃあ、転職ダンスしま~す!」


 エレノアは笑って、ぐーにした両手を上下に振りながら踊り始める。


 歌付きだった。犬さんがわんわんとか、猫さんがにゃーにゃーとか、オタクを殺しにきている踊り(ダンス)だったが、普通の人間には効きはしな――ボクは、キモオタだったので即死した。


 萌え死んでいる間に、踊り(ダンス)は終わっている。


「うわっ!」


 突然、ボクの身体は光に包まれて、まばたきのうちに衣装が変わっていた。


 全身を包んでいる革鎧に、背中にくくりつけられている大剣……首には剣を重ね合わせた首飾りが、黒色の穴空きグローブに、ポーションらしき瓶が腰回りに結びつけられていた。


 注意深く観察してみても、どこも、おかしいところはない。


 ボクは、あまりの感動に、一筋の涙を流した。


「信じて……良かった……」


 心から、そう思う。


 御心・ファッキン・妖華を信じて良かった。やっぱり、人は清い心をもって生まれてくるんだ。ボクは、今日、女神を垣間見た。


 これからは、正しい道を歩もう。地獄のような世界でも、きっと、善人は報われる。


 そう信じて、歩き出そう!


 ボクは、笑いながら、一歩目を踏み出――『重量制限で動けません』。


「……は?」

『重量制限で動けません』


 ボクは、一歩も動けずに、ただ立ち尽くす。


『重量制限で動けません』


 目の前に表示された死の宣告(メッセージ)を視ながら――


『重量制限で動けません』


 ただ、棒立ちしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] よし!家を燃やそう!
[良い点] 本物の美少女勇者が小悪魔だった(?) 訳:やっぱり運営が善意だけでアドバイスするなんてありえないよね。頭ファイナルエンドなんだから。 [気になる点] さぁ、"揉め事専門"の危険度やいかに…
[良い点] ついに念願が叶って初期からの脱出おめでとうございます! いよいよ神ゲーになれますね! vtuber、信じて良かった! [気になる点] この欄には制限がかかっています。 現在のあなたでは見る…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ