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クソゲー配信で、大人気Vtuberになってもいいんですかっ!?  作者: 端桜了/とまとすぱげてぃ
第二章 なんで、クソゲーなんてやるんですか?
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○し方は、クソゲーが教えてくれた

「『素人』は罠職だよ」

「だろうね♡」


 突然、ボクの前に現れた御心・ファッキン・妖華は、既に気づいていた真実を丁寧に教えてくれた。


「Wikiとか視ないタイプ? ファイナル・エンドで初期職に縛られるとか、前世は大量殺人鬼?」

「そこまで言われるようなことをした覚えはないんですが……」

「今後もクソゲーやるつもりなら、エレノアちゃんのところで転職してこなきゃ!」


 召喚獣カメラを引き連れた御心・ファッキン・妖華は、腰に手を当てこちらを指差し、お姉さん気取りで忠告してくる。


「エレノアちゃん……? 人みたいな名前したモンスターだね」

「い、いや、ふつーに善良なNPCだから。ファイナル・エンドで、一番、有名な女性NPCだよ。人気もあるから、『エレノアちゃん教会』って言うギルドが存在してて、ギルド員たちは日がな一日彼女の護衛をしてる」


 集団ストーカーをギルドと呼称するのはやめなさい(仏の導き)。


「転職教会、わかりにくいところにあるし、良かったらわたしが案内しよっかぁ? どーせ、暇だし」

「は? 暇だからって、親切行為を働くとか……人間か?」

「に、人間だけど……ど、どういうこと……?」


 普段、豚浪士トンローシのような魔人やべーやつを相手にしているせいか、目の前の彼女がまともに視える。このファイナル・エンドに生息している普通の人間は、彼女くらいかもしれない。


 親切な妖華(Vtuber)に連れられて、ボクは、街の中央部にまでやって来る。


 エフェンシアは、内壁で六つの領域エリアに分かれている。ボクたちが今いるのは『城街領域アルクス・エリア』だ。


 中世ファンタジーの世界観を主題テーマとした領域エリアで、レンガ造りの家と緑に溢れ、中央部には純白の城が建てられている。


「目の前にあるのが、遺城カストルムだね」


 城へと続く跳ね橋の上で、妖華は、目の前にある城を指した。


 雄大な姿で佇立するお城は、表面を撫でるように銀幕がかけられており、どこからかそよいでくる風によって、ひらひらと銀色が揺れていた。


「転職教会は、この城の中にあるんだよね~。地図マップ上の案内だと、遺城カストルムを指してるから辿り着けない人が続出。転職できないまま、素人としてレベルを上げ続けて、この世界に絶望するまでがチュートリアルって言われてるの」


 最早、選ばれし人間しかできねーだろ、このゲーム。


 NPCらしき長槍をもった門番は、城へと入ろうとしたボクたちをちらりと一瞥する。瞥見するだけで、なにもしてこなかったので、クソゲーの癖になんて模範的な態度をとるんだと驚いた。


 妖華の後について入城すると、城の中には行列が出来ていた。


 紋章の刻まれた大盾や歴代の王の肖像画が飾られた廊下、赤いカーペットの上に立って、無言で待ち続けているプレイヤーがいる。彼らは、黙々と、目の前に並んでいる人の背中をナイフで刺していた。


「なに、この行列……そして、なぜ、当たり前のような顔で、刃傷沙汰が起こってるの……クソゲーか……?」

「エレノアは、ユニークNPCだからね。ファイナル・エンド世界にはひとりしかいないの。転職するだけなら、他の教会員(NPC)に頼んでも問題ないんだけど、彼女の人気が飛び抜けてるんだよね~。

 運営の人たちが、プレイヤーをただ待たせるのは申し訳ないって言って、この間のアップデートで、前に並んでいる人を刺せるようになったの」

「申し訳ないのは、運営テメェの頭だろ♡

 ココは、教会だぞ?♡ どこの神から神託を受けたら、行列待ちの暇つぶしが刺殺になるの♡ 邪教徒のオフ会かな♡」

「ミナトちゃん、コメント、おもしろ~い!」


 褒められてるのに、嬉しくないのはなぜでしょうか?(正解:クソゲーだから)


 せっかくなので、ボクは、エレノアとかいうNPCと会っておくことにする。外で待っていると言う妖華は「おすすめ職業は、『戦士』だよ!」とボクにアドバイスをしてから、城外へと出ていった。


 待っている間、確かに暇だったので、試しに前に並んでいる男を刺してみる。


『MAVELOUS!!!!』


 視界に巨大な虹色の文字が飛び出てきて、小さな花火が打ち上がり、気持ちの良い効果音(SE)が鳴り響いた。


「…………」


 ボクは、背中側から、急所と成り得そうな箇所を刺してみる。


『AMAZING!!!!』


 男の背中から虹色の閃光がほとばしり、小さな小人のキャラクターたちが出てきて、満面の笑みで拍手をしてくれる。頭上にくす玉が出現して、大仰な音を立てて割れ落ち、七色の花吹雪がボクへと降り注いだ。


「…………」


 目の前の男の腕をもち、固定してから連続で突き刺す。


『HAPPY NEW HELL YEAR!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


 廊下の端から端まで、美しいメイドと執事が出現して、一斉にボクへとクラッカーを炸裂させる。廊下を破壊しながら、象に乗った謎のインド人が現れ、大声で歌いながらキレキレのダンスを披露してくれる。


 インド人を囲んだインド人たちが、音楽に合わせて踊り始めて、謎の黄色い花を撒き散らしながらボクへと笑顔を向けてくる。


「…………」


 ボクは、謎の黄色い花を、頭から浴びながら思った。


 神ゲーやん、コレ……。


 ボクは、夢中になって、自分の順番が来るまで目の前の人を刺し続けた。

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― 新着の感想 ―
[一言] なにこれぇ(困惑) 後インドで思い出した https://youtu.be/05TA9jNnCdU 見てみぃ?ヤヴァイよこの世の全ての音楽のためにあるからさぁ、ね?
[良い点] 頭ファイナル・エンド~(気さくな挨拶) あぁ……どんどんミナトちゃんがクソゲーに毒されt……いや元々頭ファイナル・エンドか
[一言] 最近頭が クソゲーから逃げるな と 頭ファイナルエンド で埋め尽くされている (ところで作者さんTwitterやってるのかな)
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