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ネクスト  作者: 黄昏
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2話

話を読んで浩二があまりにも異世界転移という得体の知れないものに対して無警戒すぎないかと思われる方もいらっしゃると思いますが、次の話でそこら辺の説明がありますので楽しみにしていてください。

異世界に行くと決めた浩二の行動は早かった。

まず、異世界に持っていきたい物を集める。



「本によれば、アイテムボックスの機能があの本には付いているから生き物以外なら何でも異世界に持ち運べるっていってたけど、実際にやろうとすると緊張するな。さて、夢のアイテムボックス初使用だ。」



浩二は本を開き片手に持ち、もう片方の手で異世界に持っていく予定の物の一つを触り、収納と念じる。これが、本に書いてあったアイテムボックスの使い方である。とはいえアニメやライトノベル、ゲームが好きな浩二にとってはテンプレートとでもいうべき使い方であったため、本がなくてもすぐに使いこなせただろうが。


収納と念じると、それはすぐに現実のものとなる。浩二が持っていく予定であった650ミリリットルのペットボトルのお茶が浩二の手から消えたのだ。



「うおっ!すげぇ。無くなった……。」



普通ではありえない現象に浩二は驚き、しかし、こうなることは予想できていたため数秒でその驚きは消え、次に出てきた感情は喜びであった。浩二にとって、初めて―――実際にはレイスが脳裏に現れ、本がいつの間にか目の前にあったことも含め2度目―――の異世界を身近に感じる現象であったため、その喜びは当然のことだろう。


レイスや本の存在も普通ではありえないことであり、異世界という存在を身近に感じられたのだが、浩二にとってはあまりにも突然の、予想できない出来事であったため、そこまで身近には感じられなかったのだ。そのため、浩二がアイテムボックスを使用した事によって感じる感動や喜びはそれだけ強い。そうして、浩二は喜びを一時噛みしめたあと、本に視線を移す。



「さて、ペットボトルが手から無くなったってことは、当然……うん、そうだよな。」



浩二が本の開いてあるページを確認すると、そこにはお茶の650ミリリットルペットボトル×1と記載されていた。そして、浩二はアイテムボックスからお茶を取り出したいと念じると目の前には先ほどまで手に持っていたお茶のペットボトルと全く同じものがあった。



「なるほど。いちいち、お茶の650ミリリットルペットボトルなんて念じなくても、その存在をハッキリと認識していれば、お茶だけで取り出すことは可能っと。」



多分、お茶の姿形をイメージするだけでも取り出せるんだろうなと浩二は思い、試してみたところ名前を念じなくても姿形をイメージするだけで取り出せることができた。



「収納するときは手で触れなければならないが、取り出すときはイメージだけで良いのは楽で良いな。こんな便利な物を貸してもらってるだけでありがたいけど、出来れば見ただけで収納できるとかだともっと良いんだけど。いや、それだと他人の物を盗み放題できてしまうか。それの対策のためにこんな仕様になっているんだろうな。」



まぁ、アイテムボックスがあるだけで、盗みやすくなってるんだけどなどと浩二は考えながら残りの持っていきたい物を収納していく。もともと、両親が亡くなって一人で貧乏生活をしていた浩二は、荷物はそれほど多くなく数分で全ての荷物を収納することができた。


そしてバイト先に電話で辞めることを伝えるなど、その他諸々の事を済ませた浩二はちょうど昼12時に全ての準備を終える。



「あとは、異世界転移の儀をするだけだ。ふぅー、緊張する。」



浩二はそう言いながらも、一切の躊躇なく自分の指を針でチクッと刺し血を出す。そして、針で指した指を本の異世界転移の儀と書かれたページの複雑怪奇な魔法陣の中心に押しつける。そして、浩二が指を離すと同時に魔法陣が輝き―――




気がついたときには浩二は、知らない部屋にいたのであった。

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