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合同訓練

登場人物が増えてきました。名前を間違えないようにしないと•••

 鹿医の協力を断ってから2週間がたった。あいつはなぜか協力を断った後も、以前と同じ態度で俺に接してくれる。普通は幻滅して距離を置くのではないか?そんなことを考えていると、


「よーう 兄弟!なーに暗い顔してんだ?もしかして・・・。ププッ。今日は1期生との合同訓練だからってビビってんのか?プハハ!だせぇな兄弟!」


 もしかして鹿医は何も考えていないだけじゃないのか?じゃなきゃ俺がビビってるなんて言うはずが無い。


「誰がビビってるって?正直、普通の訓練は飽きてたんだ。俺はお前よりも強いからな!」

「でも、1期生には侍がいるって話ですよ。2期生の募集が決定したのはその人が強すぎるからだって話もあるぐらいです。1期生との模擬戦が今日のメインらしいので、私は不安です。正直ビビってます。」


 千里花が会話に入ってきた。どうやら彼女は本当に不安らしい。目の下にクマがある。


「どんなに不安でもちゃんと寝た方がいいぞ。パフォーマンスが下がる。」

「千里花ちゃんは偵察兵だからね。侍は兄弟が相手するさ!」


 1人知り合いにバケモノのように強いヤツがいる。1期生の強い侍がそいつじゃ無いことを心の中で祈った。




 

 訓練が始まり、初めて1期生と顔を合わした。模擬戦前にいつも通り、走り込みなどの体力トレーニングや能力向上訓練を行ったが、正直だれが噂の侍なのか分からなかった。

 模擬戦は1期生15人 対 2期生20人で行われる。ルールは全滅したら負けというシンプルな物だ。場所は駐屯所外の森の中だ。5人の人数差はハンデらしい。


「2期生組は俺の指示で動いてもらう。」

 

 ミーティングでそう口にしたのは斧左湧(おのさわ) 砂痕(さこん)。ここ2週間で頭角を表している2期生のエースだ。


「3人1組で小隊を組み確実に勝てる戦い以外はするな。仲間を失ったら後退して再編成しろ。今から初期の編成を言う。」


 砂痕が身につけたのは強さだけでなく、その強さからくる自信だ。今回の編成も砂痕の小隊だけ戦闘力のアベレージが高い。おそらく自分達で全て片付けるつもりなのだろう。メンバーは無能力ながら身体能力が高く、洞察力も高い鹿医と、戦闘力No.2で偵察も出来る魔羽(まば) 高斗(たかと)

 因みに俺の所属するチームは千里花と2人の余り物チームだ。千里花は2期生随一の戦闘力の低さで偵察能力も魔羽に大きく劣る。俺は普段の訓練で手を抜いていることもあり、態度の悪さから砂痕より戦力外通告を受けた。まぁ俺としては今回の編成は都合がいい。

 俺たちは普段、何があろうと駐屯地から出られない。さらに駐屯地には私物の持ち込みは禁止だった。だが俺にはどうしても必要な物がある。必要な物を駐屯地へ持ち込むには今回の訓練は絶好のチャンスなのだ。


 模擬戦が始まってすぐ、申し訳ないが千里花を巻いた。1期生がここで訓練をしていた情報を入手していた為、入隊前に森の中へ侵入して私物を隠していた。リンテ王国のセキュリティは爪が甘い。バレないうちに私物を訓練用の備品の中に隠さないといけない。





「くそっ!」

 

 砂痕はイライラしていた。1期生を崩す完璧な作戦が早くも(ほころ)び始めたからだ。

  鹿医がいない。訓練開始してすぐアイツは姿を消した。さらに魔羽の負傷。魔羽の能力"飛行"で鹿医を捜索中、1期生の誰かの能力により遠距離攻撃で狙撃されたのだ。当たりどころが悪かったらしく魔羽は戦闘不能になった。砂痕は負傷者が出ると撤退して立て直せ。と自分で言っていたにもかかわらず、怒りに身を任せ1人で森を突き進んでいた。


 (誰かいるな)

 いつのまにか囲まれているようだった。どうやら不用意に進みすぎたらしい。

 (だが囲まれていても勝てる。反省は必要ない)

 むしろ接敵できたのだから、進んでいた方向が良かったと楽観的に自分を褒める。そしてコイツらにイライラをぶつけることを自分の中で決定した。

 

「気づいているぜ、出てこいよ。」

 

 3人。人数を確認すると、その内の1人に狙いを定め、自分の身体と同じ大きさを持つ大斧をもって突っ込んだ


「待ってられねぇ!俺から行くぜ!」


 ガギィン!

 

 鋼同士がぶつかり鈍い音が響いた。だが相手は普通の剣で大斧に力比べで勝てるわけがない。無情にも剣は手から離れ、宙を舞う。戸惑った相手は無防備だった。1人を切り捨てると、後ろから別の1期生がこちらに距離を詰めていた。だがその足は途中で止まる。さっきまでなんともなかった地面が沼地に変わっているからだ。


「土壌変化 沼の足枷(あしかせ)


 彼はバランスを崩して剣を沼に落としてしまった。こうなってしまっては勝ち目はない。


「土壌変化 地固め踏み鳴らし」

 

 俺の踏んでいる場所だけ元の森の土に戻る。こうすれば沼地の中心で苦しむ1期生に留めを刺すことは、造作もない。

 

「1人は逃げたか。」


 どうやら最後の1人は逃げたようだ。正直、思ったより楽勝だと思った。1年間俺たちより多く訓練していようと、俺の才能との溝を埋めるには実力が足りないのだと。この調子なら侍も問題なく勝てる。

 そんな絶好調の俺の前にまた1期生が現れる。俺は1度後ろへ距離を取ると、相手は距離を詰めてきた。


「土壌変化 沼の足枷」

 

 時間をかけるつもりはない。俺の能力は1度踏んだ地面の土を変化させることができる。

 俺との距離を詰めるために、俺の足跡を辿った時点でお前の負けだ!


 だが彼は足を取られなかった。沼に足を取られる前に跳躍したのだ。沼を飛び越え間合いに入られた。激しい剣と斧の打ち合い。斧を持つ砂痕は押されていた。そして確信する。コイツが噂の侍だと。

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