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すべての始まりここにあり
「僕と…結婚してください!」
目の前に差し出された、オレンジ色のマリーゴールドの花束。
ひざまずく彼。真剣な眼差しで私を見つめている。その額には汗が光っている。
「……もちろん。」
照れくさくなり、そして嬉しくて泣きそうになり、返事の声が小さくなってしまった。
その返事を聞いて、黄色い声で飛び跳ねる友人達。唖然としているその他の生徒、先生。
そうここは…学校の前。
『退学届』
「本当に行っちゃうの?」
そう聞いて泣いてくれる友人はもういなかった。みんな日々の忙しさに私を置いていった。将来的には日本を、世界を担っていくようなリーダー的存在を育成するこの学校にとって、私は邪魔者でしかない。
退学届を自分の机に置き、校舎を出る。ゆっくりと門まで歩いて、くるりと振り返り、
「ばいばい。」
とひとり呟いた。