妹? 20
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「「「いただきまーす!」」」
大文字に秋穂、それに冬樹が元気に合掌する。
「いただきます」
「いただきます……」
俺と秋穂が続いて合掌……。春香は風呂から上がって、服に着替えている。制服は今、洗濯中。そして洗濯に出された春香のパンツはもちろん、春香がお風呂に入っている間に俺が食べた……というのは冗談で、口に含んで味を確かめただけだ。着替えの服は、日ごろからよく家に泊まりに来るので置いたままの物を着ている。俺と春香は幼馴染だよ? 忘れてないよね。
大文字が楽しそうに「料理て、とても楽しいのですね。私、癖になりそうですわ!」などと意気揚々に言う中、春香は溜息を漏らす。
「わからない……私にはわからない……。あれがわざとなのか天然なのか……」
春香に用意されたハンバーグの外殻は黒くコーティングされており、気を利かせた大文字がありがたいことにマヨネーズをふんだんにぶっかけた。本人曰く、「この白いソースで中和すれば大丈夫ですわ!」だそうだ。お前がそう言うならそうなんだろう、お前ん中ではな。
「ささ、お兄様! 私の作ったハンバーグ、お召し上がりください」
そう言って大文字は俺に早く食べろと催促する。俺は用意されたハンバーグに目を向ける。綺麗なハート形だ。表面は綺麗な焼き目が付いており、ハート形のケチャップが描かれている。
「おう」
俺は一言と呟くと箸でハンバーグを両断して中身を見る。真っ赤だぜ……。大文字の顔を見ると彼女は「ああ~お兄様、ハートを半分に割くなんて酷いですわ」と不服そうにする。酷いのはお前だこの野郎! しかし、すぐに顔を赤らめ、つぶらな瞳でこちらを見つめる。その眼差しは”ドキドキ”とこちらにも心臓の音が聞こえそうなほどで、まるで女子中学生が調理実習で作った手料理を好きな人に食べさせて求愛行動をしているようではないか!? あ、その好きな人は俺か。なんて罪作りな男なんだ俺は!
(てかこれ一緒に作ってたの秋穂だよな?)
そう思い秋穂に目を向けると一瞬で目を離された。
「あ、冬樹。私が食べさせてあげる。はい、あーん」
「えへへ、ありがとう秋穂ちゃん」
秋穂たちは仲睦まじく食を続ける。
「一杯食べる。金魚みたい。あ、ご飯粒付いてる」
秋穂は冬樹の口の周りに付いたご飯粒を取るとそのまま自分の口に入れる。
「ありがとう秋穂ちゃん。これ秋穂ちゃんが作ったハンバーグだよね? 凄くおいしいよ」
「うふふ、正解」
くたばれ。
俺は上目使いで目を瞬かせる大文字に押し負け、ハンバーグを口に含む。大丈夫、今日の肉は牛肉だ。そうに違いない。
「パクリッ」
うん、ジューシー。
「ビュヘアッ!?」
血なまぐさいハンバーグをティッシュの中に吐き出す。不味いわ、取りあえず。あと、牛肉であったとしても挽肉だったらダメだわ。一般家庭でハンバーグのレアとか正気の沙汰じゃねえ。
「……お兄様、お味はどうでしたか?」
俺がひたすら嘔吐いていると大文字が目を見開いて聞いてくる。この俺の有り様を見て第一声がそれなのか?
「不味い、クソ不味いわ! 焼き加減は一先ず置いといて、酸っぱい。いったい何入れたの?」
「……不味い。そうですか……実は私の好物をソースに混ぜたのですが失敗でした……」
大文字は偉く落ち込んだようにそう言う。ソース? ケチャップじゃないの?
俺は皿に残っているハンバーグのソースに目を向ける。何だか口がピリピリしてきた。
「お兄様の舌には合いませんでしたか、このタバスコは」
そう言うと大文字はおもむろに赤い液体の入った瓶を取り出す。
「タバスコ?」
俺がそう聞き返すと大文字だなぜか得意げに話し出した。
「そう、タバスコですわ! しかも通常のタバスコとは違います。何せこのタバスコは『タバスコデラックス』、通常のスコヴィル値の約200倍、53万スコヴィルですわ!!」
「タバスコの200倍だとー!?」
俺の叫んだと同時に隣に座っていた春香が倒れ来む。彼女の唇には黒と白と赤色のものが付着しており、白目を剥いたまま微動だにしない。
「はる、かぁぁああああらああああぁぁぁぁーーーーーーー!!?」
突如として襲い掛かる刺激に声が裏返る。体が熱くなり全身の汗腺が開く。
「あれ? お兄様?」
床に倒れ、薄れゆく意識の中で俺は仰向けで倒れている春香のおっぱいを一撫でした後、体を横に向かせた。




