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妹? 17

 作りかけのハンバーグのタネをこねくり回しながら、俺は隣のやり取りに耳を傾ける。


「じゃあ、取りあえずキャベツを千切りでお願いします」


 そう言うと春香は、持っていた包丁の刃を自分側に向けて大文字に渡して、両断されたキャベツとまな板を指さす。(フー、春香先生鬼畜ゥー。スライサーがあるのに包丁でやらせる気だぁ)


 意地悪そうに顔を歪ませた春香を見て俺は、ポケットに入れていたロリ春香の写った、写真を取り出す。どうやら、この時のマイフェイバリットオ〇ニーガール春香は、いつの間にかいなくなっていたらしい。


 俺が悲しみを紛らわそうと写真を眺めていたら少し勃起……ではなく、大文字が春香の些細な嫌がらせに無垢な瞳で返事をする。


「分かりましたわ、千切りですね。お任せあれですわ」


 大文字はそう言うと両断されたまな板の半分を手に取ると、もう片方にキャベツごと上から挟み込む。俺と春香は頭の上に”!?”のマークを浮かべて困惑していると、彼女はそのまま包丁で切り始める。


「ザクリ、ザクリ」


 やはり彼女は気がふれていたらしい。彼女は何の違和感もなくキャベツを切り続ける。


「あら? どうかなさいましたかお兄様?」


 俺の様子に気づいた大文字がキョトンとした顔で俺を見つめる。どうかなさいました? じゃねえよ、お前がどうかしちゃってんだよ。あークソ、可愛いなこいつの顔わ!


「いやいや、何やってんのそれ?」


 俺がそう聞くと大文字は「これですか?」と言葉を続ける。


「キャベツの千切りですよね? ですからこうして、この板で挟んでズラしながら切っていたんです」


 そう言って大文字は俺に見えるように実演して見せる。どうやらまな板ごと切り刻んでいたわけではないらしい。それでもおかしいからね? 取り合えず指摘しといた方がいいよな?


「お茶目だな大文字さん。まな板はそのように使わないんですよぉ」


 俺がそう言うと大文字は「へ?」と声を上げる。


「では、このように二つ置かれてあったのは、いったい?」


 大文字が疑問の声を漏らす。


「あはは、それは本来一つに繋がった物でそれの上で食材を切るんだけどなぜか半分に切れちゃってるね……お前料理したことないだろ?」


 俺がそう言って大文字に先ほどから思っていたことを問う。正直、料理したことがない以前の問題だが彼女からしたら図星だったらしい。表情崩し言いよどむ。


「あ、あははは……何を仰いますのお兄様。大文字家の女が、料理の心得がないなどあるわけがございません! 冗談、冗談ですわ。これの上で切る。ええ、わかっていますわ」


 そう言うと彼女はまな板をどけ、キャベツを掴むとそのまま切ろうとする。


「おい、ちょっと待て!」


 俺は急いで包丁を持つ彼女の手を握り、その動きを静止させる。


「危ねえだろ。あのままじゃ親指いってたぞ! 猫の手しろ、猫の手を」


 彼女はキャベツを掴んでいる手を見て「あ」と声を上げた。


「ごめんなさい。お兄様」


 彼女は俯く。どうやら落ち込んでいるらしい。


「猫の手分かるか?」


 俺がそう言うと彼女は「申し訳ございません。わかりませんわ」と素直に答える。


「素直でよろしい。こうやってやるんだ、見とけ、といけねえ。手を洗わねえと」


 俺は手を洗うと大文字の後ろに回り彼女の後ろから覆いかぶさるように体を密着させ、猫の手を実演して見せる。


「手をこう軽く握って、親指を隠すんだ。で包丁の腹の部分を中指の第一関節辺りに軽く当てながら、包丁を下ろして切る。どうだ? やってみろ」


 説明し終わると彼女にやってみるように言う。すると彼女は「わかりましたわ」と俺のやった通りに実行する。


「上手い上手い、じゃあそれを同じ間隔でズラしながら切っていって」


「はい」


 彼女は綺麗にキャベツを千切りにしていく。やり方さえ教えれば早いもので、あっという間にキャベツは千切りなった。正直俺より上手かった。



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