セクハラ。ダメ。絶対。
「先生、パンツ穿いたんすね!」
この俺にだけ重い空気に耐えられず、出てきた渡辺先生に勢いよく話しかける。
「生田、お前はどうしてそう平然とセクハラができる。道徳や倫理観はお前にないのか?」
渡辺先生は俺のセクハラに頬を染めながら疑念を投げかける。
「いやー先生あるに決まってるじゃないですかー。人を盛りのついた犬みたいに言わないでくださいよ」
俺は笑いながら質問に答える。ははは、倫理観? 道徳? あるに決まってる。ただ俺は未成年だ。最悪、少年院に行く覚悟はある。
俺の回答に納得がいかなかったのか渡辺先生と他三人はジッと俺を見つめる。おいおい、そんな熱い目線を送るな。照れちまうだろうが。
「そんなことよりもう帰っていいですか? いろいろ疲れたんで家でゴロゴロしたいです」
俺は辛抱たまらず自分の要望を応えた。
「……そうだな。他の生徒ももう下校しているだろうし私もこれから用事がある。お前たちはもう帰れ」
俺の要望に渡辺先生はすんなり承諾してくれた。なんて話の分かる人なんだ。俺の中での渡辺先生の好感度は先ほどの件からうなぎ上りである。
「寺島に山本付き合わせて悪かったな。それと山形飼い犬の手綱はしっかり握っておけな。おい生田!」
渡辺先生は俺を呼ぶとグイッとネクタイを掴み、俺の耳元に顔を近づける。(えっ、何? 何かのご褒美?)
俺は渡辺先生が俺の耳に息がかかるの程の距離に近づいたことでつい反射的に身構えてしまう。
「お前には話がある。今度きっちり話をしようじゃないか。逃げるなよ?」
そういうと渡辺先生は俺を離しニヤリと不敵な笑みをこぼす。多分SMプレイの女王様はこういった顔をするのだろう。
俺は先生のそのSっ気に当てられ、思わず「はいっ!!」と満面の笑みで答えてしまった。渡辺先生は俺の返事によりせっかく表情を苦い顔へと変貌する。どうやら先生が求めるリアクションとは違ったらしい。
それから先生は俺に一瞥もくれずにその場は解散となった。




