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青少年の夢とは

「うるせえ……」


 そう言ってメスゴリラの助言を無下にするように答えた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺たちが保健室で待機していると三分も経たないうちに渡辺先生が春香を連れて戻って来た。二人は息を切らし、髪や身なりが乱れている。先生、俺以外の人にまで思い出を作って来ては、いないでしょうね?


 俺が渡辺先生のスカートの中身を思い出していると渡辺先生が掴んでいた春香の襟首(えりくび)を放すと「入れ」と言って春香を保健室を押し込み扉を閉める。


 春香は身なりを整えると俺のもとまで来て来ると俺の(ほほ)に手をやる。


「夏樹……怪我(けが)大丈夫? 痛くない?」


 俺の頬を撫でる手はとても暖かい。彼女は俺の顔に目立った傷がないのを確認すると背中に手を回しさすってくる。実は先ほどまで出ていた鼻血は春香が追いかけっこをしている間に綺麗に拭き取り、鼻にティッシュを詰め止血していた。そのときメスゴリラが介抱してくれたが別に”こいつメチャクチャ優しいじゃん”とか”今なら抱いてやってもいい”とか思ってないからね!


「よかった。大丈夫そうだね」


 そういうと春香はニコリと笑顔をこちらに向ける。ああ、可愛いんじゃあ。ほんのりと汗をかいているが如何(いかん)せん俺は匂いを嗅ぐことができないため春香の体臭を堪能することができない。


「ああ、ちょっと鼻血が出たぐらいだよ」


 俺はそう言うと彼女と同じようにニコリと笑顔を返す。


「おい、お前ら、不純異性交遊だ。反省文を書け」


 渡辺先生の目が据わっている。相当お怒りのようだ。無理もない。俺のせいで先ほど恥ずかしい思いをしたのだから当然だ。その俺が今度は美少女と抱き合うような形で見つめ合っているのだ。しかも自分のパンツを握りしめた状態で、さぞかし面白くない事だろう。


「先生待ってくださいよ。俺と春香は幼馴染ですよ。不純異性交遊だなんて……」


 俺は渡辺先生の言葉に反論を述べる。俺と春香が不純なんてとんでもない。俺は春香に純粋な性を放出している。


「なんだお前たち恋人じゃないのか?」


 渡辺先生は驚いた顔でこちらを見る。


「当り前じゃないですか、恋人だなんてそんな……」


 俺は呆れるように言葉を吐く。当り前だ。俺と春香は恋人だなんてそんな生半可な関係ではない。俺は将来、春香と結婚するつもりでいるのだ。幼馴染という関係はもはや恋人を超えている。


「それはそうと先生、はいこれ。お返しします」


 俺はそう言ってクシャクシャになったパンツを渡す。もう匂いを嗅げないし青少年のドリームを野放しにしてこれ以上被害が拡大しては先生の人生が狂ってしまうのでパンツを返すことにした。

 



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