異世界の地、勇者の継承
みなさんお久しぶりです、こんにちは、そしてこんばんは。
作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す! 久しぶりっ! 元気にしてたかな?
新作ができたのでアップしまっすっ!
おっと、その前にここはまえがきでっす!
本編読みたいひとはサクッと下までいってね。う~ん、これ言うの久しぶりだなぁ~
さて、何を話そうかな~あ、そうだ。間宮冬弥が嘆いてた事でも話そうかな。
先日、間宮冬弥が楽しみしていたシュタ○ンズゲート・ゼロの発売日が延期になったんだって。そんで「まいった~~」と頭を抱えていたので「どったの?」と聞いたんだ。
そしたら、「ゼロが発売してからすぐにイグ○スト・アーカイヴの発売だから金策が難しい!」と頭を抱えていました。給料が少ないと大変だね! あはは!
おっと、あまりいうと私が消されちゃうので、このへんで終わるね!
では、新作をお楽しみください。それではっ!
「うわあああああああ〜〜〜〜〜〜!」
落ちる。晴れ渡った青い空から俺は下へ落ちて……落下している!
「うわああああ〜〜〜〜〜」
どんどんと雲を突き抜け、じわじわと地面近づく……って
「目の前に建物ぉ!」
俺の落ちていく軌道の先には大きな、巨大な建物がそびえ立っている!
「ど、どいてくれ〜〜〜〜〜」
無理なのはわかっている! だけど、叫ばずにはいられないんだ!
「うわああああああ〜〜〜〜〜!」
目の前に迫る大きな白い建物! あ、俺は死ぬかも……それとも……もう死んでるのか?
バリ〜〜〜〜〜ン! とガラスが割れる大きな音が俺の耳に響き直後! なにか柔らかいものに全身が弾かれ、地面に落ちた。
「痛っ!」
なんとか立ち上がって目の前の光景を見る。どうやら俺が突っ込んだのは窓。あのガラスが割れるような音はこれだった。そして窓の下に備え付けられていたベッドだったのだろう。俺が激突してその衝撃で木製のベッドは真っ二つに割れている。衝撃のデカさを物語っている真っ二つに割れたベッド。
そして、あのベットがなかったら俺は確実に死んでいた。という事実。
「助かったのか……?」
状況が理解できないままボーゼンとしている。助かったのかどうかの状況の前に、俺は生きているのかどうかさえわからなかった。
「何だキサマ? 侵入者か」
大きな部屋の足音が聞こえ、声も聞こえる。その声からして女の子の声。
「えっ……」
声の方を向くと……見たことのない禍々しい格好をした……大きな鎌のようなものを持った俺と同じ高校生くらいの女の子だった。
鈍い光を放つ大鎌には所々、染みが着いていた。割れた
窓から光射すその色は『赤』
どうやら俺は……死んだみたいだ。
◆
2003年 六月某日。
東京都港区芝公園東京タワー付近。
午後二時五十分。
ファストバーガー『マムトナルド』店内
「へぇ〜こんな高いアプリがタダなのか? なぁちょっとこれ見てみろよ」
最近、発売され機種変更したスマートフォンとかいう携帯電話をいじり俺は剣道部の仲間に声をかける。
長方形の本体は、ほぼ大半が液晶パネルが占めてその影響で本体もでかい。
さらに手の収まりも悪いし、持ちにくい、なおかつ電池の減りが早くすぐになくなる。三日持てばいいほうだ。
親戚の兄さんが『これはあと七〜八年で必ず普及してケータイは駆逐される。俺には見える』って言って無理矢理に機種変更されたけど……正直、折りたたみの携帯に戻りたいよ、俺は。
そんな大きな携帯の大画面を剣道部の仲間に見せている。
駅前のマムトナルド。今日は部活が休み。放課後に剣道部の連中とハンバーガーで小腹を満たしながら、俺はなんとなくアプリストアをのぞいていて、セールの項目の中からそのアプリを見つけた。
アプリ名は『世界の知識と知恵』という名の売り切りアプリで『世界のあらゆる雑学・知識・歴史・科学・医療・学問・技術・言語の世界中の知識・知恵をこのアプリひとつで』という詠い文句のアプリだった。通常価格が10万円越えの超高額アプリが創立20周期年記念として今ならタダらしい。太っ腹すぎるだろ? この会社。
「今なら無料で購入できますって……10万がタダ!? すごいなこれ!?」
「信じられないよな?」
「これ、どこで買うんだ?」
「この購入のボタンを押せばすぐに買えるよ」
「へぇ〜すごいな、お前のケータイは」
「そうだけど……正直、そっちのケータイのほうがいいよ
」
俺は友達が持っているストレートタイプのケータイを羨ましそうに見た。
「でもまぁ、タダだし」
せっかくなんで落としたが、なんとこのアプリ。容量が5GBというとんでもない容量だった。本体内蔵容量が8GBのこのケータイ。だけど実は実質使える容量が6GB。だからほぼ俺のスマートフォンはこのアプリが占める事になる。
「すごい容量を喰うな……このアプリ」
そんなアプリをダウンロードが終わり。剣道部の連中とマムトを出てしばらくして、学生が多く通るこの道でそれは予兆もなく突然起こる。
「じゃあな、また明日」
「おう」
剣道部の連中と別れ、ひとり帰宅の途へとつく。
「ん?」
そんなひとりで帰宅の途中。スマホから着信音。画面には『新着メールあり』と表示されている。
「文字化け? 相手のメアドも読めないぞ? なんだこれ??」
そのメールは相手のメールアドレスから本文まですべて文字化けしていて読めない。どうすんだこれ……?
判別できるのは俺のメールアドレスだけ。なんなんだ? これ? いたずらメールか?
「捨てよっかな……」
読めないメールを持っていても読めないものは読めない。ならいっその事、捨てる意気込みでメールをドラッグしてゴミ箱へと移動させる。
「重要だったらもう一度くるだろう」
そんな気持ちでメールをゴミ箱へとドラッグする。
「あ……」
前から俺と同い年くらいの女の子が歩いてくる。
(どこの高校だろう? すごく好みの子だなぁ……)
身長は俺より低いくらいだから、150センチ中盤あたりだろうな。
長い髪に白い肌。幼さ残っていて、キリッとしている端正な顔立ち。綺麗というかかわいい感じの子。紺色ブレザーの制服がよく似合っていた。
俺の指は知らない間にスマホから離れていてドラッグの操作が無効になってメールは受信フォルダに戻った。
(カワイイ……)
胸中で思う。すごい好みの子……惚れたかも……
周りはまばらにひとがいるだけ。俺とその子がすれ違う瞬間。それは起こった。
「えっ? き、きゃああああああぁああぁああ〜〜〜!」
「あっ? うわああああぁあ〜〜〜〜〜!」
足下がすっぽりと抜け落ちる感覚。いきなり地面は黒に染められ、地に着いていたはずの足は……身体は突然の『穴』に引っ張られいく。
「うわぁ! 大穴だ!」
「離れろ! 飲み込まれるぞ!」
周りに人々が逃げまどい、叫び声をあげるひとびと。
それは『大穴化現象』
ある日ある時、俺の住むこの世界で突然それ起こった。
発現したら最後。その大穴はなにもかもを飲み込む。建物も植物も食料も車やコンクリートの地面。そして……人間までも。
この大穴は地震と同じくらい、いつ起こるかわからない。そしてやっかいなのは発現したら逃げることが不可能だ。大きな穴に落ちる。これは逃げようがない。さらに緊急地震速報など事前にわかることもない。まぁ、わかった所で逃げることはできないけど。
自然災害。いや、どうにもならないからこれは『厄災』と呼ぶべきだな。
「いや、誰か助けて! いややゃやゃ〜〜〜〜!!」
俺はこの『大穴』に落ちた。偶然居合わせた、他校の女の子と一緒に。
「高校生がふたり落ちたぞ!」
「警察はまだか!」
落ちゆく中、俺は何もできない大人に……そして何もでこない俺自身に絶望と……迫りくる死に恐れていた。
◆
「なんだお前は? あの窓を割ったのはお前か?」
「えっ? えっ……?」
何を言ってるのかわからない。言葉が理解できない。あの世ってこうなのか?
「答えろ。キサマはなんだ? 『勇者』の仲間か?」
「えっと……何を言ってるのかわからないんですが……」
「……何を言ってるかわからんぞ! わかるように言え!」
「えっと……えっと……」
これは何語だ? 英語か? それともフランス語?
「……そうか。答える気がないんだな」
大鎌を持った女の子はゆっくりと手に持つ獲物を振りあげた!?
「ちょっと待った! とりあえず落ち着こうよ!」
「わからん! 耳障りなやつめ!」
「うわああああ!」
振りかざした大鎌を俺は必死でよける!
「待った! 待ってて!」
「耳障りなノイズは、やめろ!」
「うひっゃああ!」
再び振りかざされた大鎌を大きく左に身体を動かしかわす!
「ちょっ……?」
腰を抜かし、手を床においた瞬間、手のひらにネチョっとした感触に襲われる。
「なんだ……」
左手を見る……なにかドロっとした液体が手のひらにびっちょりと貼りついている。
「水……?」
この鉄のような臭い……鉄の……ような……臭い……
?
「まさか……」
胸の鼓動が高鳴る。呼吸が乱れ息が荒くなる。
……このドロっとした液体はあたり一面に大量に広がっている。
「ふん……なんだ? 血を見て恐れているのか? ヌルいやつめ」
大鎌の女の子がどいたのか太陽の光が俺の手を照らした。
「うっ……うっ、うわあああああああああ!」
ドス黒い……赤い液体。鉄のような臭い……それは紛れもなく血だった……
「なんだ! ……何なんだここはぁ!?」
俺はあたりを見渡した。薄暗いこの大きな部屋には血に染まった寝台や黒く染まった斧や槍。大きなハサミ……そして手錠のようなものや手足を縛る拘束台……棺の裏に針が仕込まれている棺……用途がわからない器具が多数ある……
それに、ひと一人が入れるくらいの大きな試験管があって……その脇には俺にはわからない薬のような瓶が無造作に置かれている……
それに薬品の臭いに混じって……何かが焼かれたような臭いも漂っている。
ここは……ここは……少なくとも俺のあやふやな記憶ではアニメやゲーム。海外ドラマや映画で見たことある……『拷問室』のようだ……?
「うっ……」
男の呻き声が……耳に刺さる……
「!!」
誰か……いる?!
「ああ……」
そこにいたのは……腕を頑丈な鎖で繋がれ、身体には多数の傷がある男だった。傷口からは……血が多く滴り落ちている……
そして、その男の右腕から下が見えない……血も滴っている……俺には確認できなかった。いや、理解しないだけで……もうすでに右腕は……
「誰かいるのか……?」
「あっ……」
片目を瞑った男は声を上げ俺を見た。瞑った片目からは血が涙のように流れている……きっと、もう目がつぶされている……と、思う。確認したくないから思うだけだ……
「えっと……」
「その声……そうか……『やっと来たか』」
男の顔はすでに顔が判別できないほど焼きただれている……顔を焼かれたのかもしれない……ううん、焼かれたんだと思う……
酷い……こんな事が……現実で? 起こって……いる……?
「まだ、生きていたのか『勇者』よ。ああ、ちょうどいい。その侵入者共々息の根をとめてやろう」
「やめとけ……そいつ関係はないだろう? 今はな」
「ほぉ〜さすがは誉れ高き勇者さまだ。そんな死に損ないの状態でも他人の心配ができるとはな。だが勇者よ」
ふたりが俺の知らない、わからない言葉で会話をしている。何を話しているんだ……?
「うっ……」
突然、話の途中で大鎌の女の子は俺を睨みやる。
「こいつは我が魔王城に忍び込んだ賊だ。許すことはできん」
「勇者の命で許してやれよ」
「あはは! 勇者は面白い事を言う! だかダメだ。こいつは殺すよ。私が今、ここで!」
「ちょっ!」
大鎌を再び振りかざし、俺に襲いかかる!
「待ってって!」
大声で叫ぶ。
「わからん! わかる言葉で言え!」
言葉が通じず、俺は女の子の攻撃を避けるだけだ!
「このままじゃ……」
横目で鎖で繋がれている男を見る。捕まったら次にああなるのは俺だ……なら!
「死んでるのか、生きてるのかわからないけど……拷問の痛みの中でもう一度死ぬなら……そんな苦痛は抗ってやる!」
床に落ちていた血塗れの剣をすくい上げ、正眼に構える
「ほう、この『魔王の娘』である私と戦おうというのか? おかしな格好の男よ?」
「何を言ってるのかわかんねぇよ、コスプレ女! その服装似合ってねえんだよ!」
なんて暴言を吐く。まぁ、実際に似合ってなんだけどな!
「何を言ってるのかわからんが……今、侮辱された気分だぞ!」
大鎌が俺を再び襲いかかる!
「くっ!」
剣を構えたまま、横へとステップして大鎌をかわす!
「逃げるな! 賊め!」
「わかる言葉で言えっての!」
連続して襲いかかる大鎌の連撃を左右、後へとステップでかわしまくる!
「くそ、なぜ当たらない! お前はなんだ!」
女の子は俺に向かって何かを吠えているかさっぱりわからん!
「ピョンピョンと……虫のように飛び跳ねてるんじゃない!」
「いける……?」
いや……落ち着け! 落ち着け俺! 相手の獲物は鎌だ……懐に入ってしまえば。
「これで息絶えろ!」
「はぁ!」
大きく振りかざした鎌を剣でいなし、そのままダッシュして懐に入り込む!
「これで鎌は振れないぞ!」
「くっ……こいつ!」
完全に懐はがら空き! このひと振りで!
「紅蓮の炎よ!」
「えっ!? マジでか!」
攻撃態勢に入ったところで大鎌の女の子は声を上げる。
「まずい……かも!」
大鎌の女の子の右手に……突然火が灯された?! 攻撃に移る全ての動作を停止し、これからの回避へと意識を総動員させる!
「燃え尽きろ!」
とっさに後方へと大きく後ずさった直後、鎌の女の子の手からバスケットボールのような炎の玉が放たれる!
「マズい! マジでやばい!」
迫りくる炎。どうする俺!
ふっと床を見ると石造りのタイルがはがれている!
「ふんぬ〜〜」
決死の力で持ち上げ、火の玉にむかって思いっきり投つける!
「やった!」
石のタイルは炎の玉に直撃しタイルと炎の玉は焼却されてしまった。
その炎は石を焼き消すくらいすさまじい高熱なのかもしれない。なんせあの石のタイルを消し去るぐらいだから。
「次はないぞ」
「マジ……」
見ると鎌の女の子の手には、俺を絶望に叩き落とすには十分なくらい。ビニール傘を開いたぐらい大きさの炎が出来上がっていた。
「終わりだ」
「……!」
そして、女の子の手から炎が俺に向かい放たれる。
「終わりか……訳も分からずに……火に焼かれて、もう一度死ぬのか……」
目を瞑り、全てをあきらめた時に俺はおやじのとの特訓を思い出す。
「ああ、これが死ぬ間際に見る走馬燈とかいう奴か……」
瞼を持ち上げ、俺の命を燃やす炎を見た。
『覚えておけ。これは四獣・朱雀ノ太刀。火風水土の四大元素のひとつ『火』を断ち切る刀術だ』
「朱雀ノ太刀……」
おやじの刀の構えを思い出すように血塗られた剣を腰の後ろへと動かす。
「……どうせ終わるなら……最後に!」
柄を強く握り締め、剣を手に固定して……
「朱雀ノ太刀ィィィ!」
目と鼻の先にある『炎の球体』めがけ、朱雀ノ太刀をとき放つ!
タイミングはバッチリ! 確実に炎を捕らえた!
「うぉおおぉぉぉぉおおおおぉおぉお〜〜〜〜!!!」
気合いの雄叫び共に俺の放った『朱雀ノ太刀』は炎を斬り裂く!
「な、なんだと!」
鎌の女の子は驚きの声を上げ、俺を見ている。
斬り裂いた炎はない。俺の朱雀ノ太刀によって斬り裂かれ、完全に消失している。
「バカな『魔力で生成した炎』だぞ? その炎を斬り裂くだと……魔法剣士でもそんな事は……キサマ何者だ?」
「何言ってるかわかんねえって!」
俺は鎌の女の子の言葉が相変わらずわからず、適当に答えた。
「ならば……窒息させてやる!」
「今度は水か? たぶん無駄だよ」
女の子の手ひらには炎ではなく『水』の固まりが出来上がっていた。
これも……『斬れる』はず!
「死ね!」
大声と共に水の固まりを放つ。
「四獣・青竜ノ太刀!」
四大元素のひとつ『水』を断ち切りる一太刀。おやじの言葉が思い出から甦る。
俺は落ち着いて、目の前に迫っていた水を『青竜ノ太刀』で斬り裂く。
「そんな……」
水は斬り裂かれ、俺の服を少し濡らして蒸発した。
「なんだ……何なんだ! キサマは!」
「だから……何いってるかわかんないって!」
◆
「さすがだ……」
片腕を鎖に繋がれた隻眼の勇者は魔王の娘と戦う男をみて、呟いた。
「リムル……いるか?」
「はい。アドニスさま。こちらに」
呼び声に答えて飛びながら現れたのは、手のひらに乗せられるくらい小さい背中には羽の生えた女の子のような生物。
「勇者の『勇気・知恵・力』のすべてを一時的に放棄して、目の前の男に譲渡する」
「……それは、あの男に『勇者を継承』させる事?」
「違うよ。聞いてなかったのか一時的だよ」
「……わかりました」
「……この姿を見てお前もわかってるだろ? 俺はここまでだ。あの戦いが終わったら……正式に継承させる」
「でも……私は」
「あいつを助けてやってくれ。そうしないと……この世界は変われない」
「……あなたはヒドいひとです」
「頼む」
「……命令なら従います」
「違うよ……お願いだ」
「はい……」
小さな羽の生えた生物は勇者の言葉で魔王の娘と戦う男へと羽ばたいていった。
◆
「け、剣が!」
振りおろされた大鎌を受け止めた時に、持っていた剣が
ポッキリと折れてた!
「マズい!」
折れた剣を大鎌の女の子に投げつけ、俺自身は後退して距離を取る。
「危険だ……」
ぽつりとそう呟いて、俺が投げた折れた剣を大鎌ではたき落とした。
「お前は危険だ……このまま生かしたら脅威になる可能性を秘めている!」
手のひらを俺に向けてかざす。
「いや……脅威どころか『勇者』になるやもしれん」
「なんだ……」
手のひらに白いもやが集まる。
「ここで、勇者の種と希望を潰す!」
「風が……」
風が女の子の手に収束していく?
「いくらキサマでも風を見ることはできんだろうに!」
「風……くそっ! 今度は風か!?」
まずい……風は俺には見えない! こんな事ならおやじから風の感じ方を教わっておくんだった!
「風よ! 彼の者を切り刻め!」
収束された風が、一気にはじける!
「させません!」
「へっ……」
俺の前に現れたのは、手のひらに乗るくらいとても小さな、小さな女の子……でも……ちょうちょのような透明な羽が生えてる?
「勇者の『精霊』か! その男と一緒に切り刻んでやる」
「はぁ!」
目の前に……性格には羽の生えた、とても小さい女の子目の前に円形の中に模様が描かれた……一言でいうとゲームで出てくるような『魔法陣』が作られ、風から俺を守ってくれている。
「ちっ! 精霊め!」
鎌を持った女の子は今度は炎を手のひらに作り出し、それを空飛ぶ手のひらサイズ小さい女の子に向けた。
「させません! 凍える時の碑氷よ!」
「しまっ!」
「氷漬け……マジかよ……」
鎌を持った女の子が足下から急速に凍り付き……そして完全に凍り漬けになってしまった……
「いいですか、今からあなたに『勇者のすべて』を一時的に継承させます!」
「えっ?……」
こっちに向いた、この子も何を言っているかまったく理解できない……俺の知らない言葉……でも、とても真剣な表情……切羽詰まっている顔だ……何をしたいんだ?
「私が剣になったら、剣を手にとってください! あとは私が継承の処理をします!」
「えっと……」
かなりまくしたててるけど……何言ってるかわかんないよ……
「行きます!」
突然、女の子の全身が光りだして……姿が光になって……
「剣……」
そして、小さい空飛ぶ女の子はいっそうのまばゆい輝きを放ち、柄と鍔が綺麗で神々しい輝く『剣』へと姿を変えた。
「早く私を手に!」
「えっ……えっ……!? 頭の中から声が……?!」
戸惑っている俺のよそに剣は俺の頭に直接しゃべりかけてくる!
なんなんだよ……この不思議な感じは!?
「早く! 私の魔法も長くは持ちません!」
「な……何を言ってるのかわかんないんだけど……」
目の前で起こる出来事に理解が追いつかない……俺は死んだんだよな……ここは天国なんだよな……でも……今起こっていることはなんだ……ここはホントに天国なのか……地獄なのか……それとも……まったく違う場所……
「くっ……こしゃ……くな……」
「!!」
氷から声が……
見ると、凍り漬けにされている鎌の女の子を覆う氷が溶けているとわかるほどの速度で急激に溶けだしている!
「急いで!」
「剣は握らせんぞ!」
完全に氷が溶かされ解放された、鎌の女の子が俺と剣になった小さい女の子めがけてかけてくる!
「早く、私を!」
「くそっ!」
俺は、目の前の……光輝く剣を力強く握る!
「遅かった…! ……精霊神剣アレフガルドめ!」
鎌を持つ女が忌々しく俺が握った剣を鬼の形相で睨んでいる……
続く。
第一話『異世界の地、勇者の継承』・完
こんばんは、間宮冬弥です。
まずは、ボクの小説を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
今回の物語は異世界勇者ものとなります。
こちらも最後までお付き合いしていただければと思います。
では、これで失礼します。