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目覚め
「眠りの森のお姫様。」
そう呟いたロロだったが、接吻して目を覚ましてあげる気は持ち合わせていなかった。
シュシュはロロの肩に乗っていた。また一回り大きくなったようだった。
「クロアァ。」
ひときわ大きなアランの雄叫びが響いた。天窓高くか、この家近くの木からなのか、どこから届いた声だったか見当がつかなかった。
老婆の両目がカッと見開いた。シュシュとアランと同じ、白目の部分が薄黄色で、黒い瞳をしていたが、その真ん中には炎が燃えていた。
ロロはたじろぎもせず、一歩前へと、老婆の方へと近寄った。