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金色のエクレール
薄墨が広がったような雲の中、ところどころに鉛色が差したような濃い塊が点在していて、その中では雷の子たちが弾けていた。
ジヲマが近づこうとすると、塊は避けるように別の場所へと移った。それでもジヲマは後を追った。
「あっちへ行って。」
鉛色の雲の塊から金色に輝く女性が姿を現した。洋服を身に付けていないようだったが、全身が黄金に輝いていてあまりの眩しさに正視できなかった。
「あんたに用はないわ。」
シュシュはエクレールに飛びかからんと、柄の上で背中を丸めて全身の毛を逆立てていた。




