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鉤と炎の右手
「ジヲマ…か、新しい名前。」
ロロは頷きさえしなかった。否、すでにジヲマへと変貌していた。
膝の上に抱きかかえていたシュシュを、頭から肩へと優しく撫でた。
そして、左手でシュシュの首の辺りを床に抑え付けた。シュシュは鳴き声を上げることもなく、抵抗しようとする気配さえなかった。
ジヲマの右手はゆっくりとシュシュの顔へと向かった。かつてのネノのように、爪の先には炎が灯っていた。爪はゆっくりと伸び、固さを示す銀色に変わっていた。
アランは流し台に佇んで、音も立てずにその様子を眺めていた。




