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蝙蝠の牙
「お前がヨジマの左手に触れたとき、ヨジマの遺志を受け継いだとき、すでに分かっていたはずだ。」
ロロは否定などする様子はなかった。テトはそれを見てとり、それ以上は言葉を続けずにいた。静かに、杖の先の蝙蝠をロロの目の前にかざした。
蝙蝠の目が赤く光ったと思ったら、両方の黒い、傘のような翼がガッと広がり闇がロロの顔を覆った。口がカッと開き、蝙蝠の口の中には二本の白い牙が光り輝いた。ロロは少しもひるむことがなかった。シュシュは蝙蝠に飛びかかろうとしたが、見えない力にはねつけられてしまった。
あまりに平然としたロロの様子に、テトは杖を下げた。
「ふん。」