インヘリタンス

いつもの朝

いつもの世界に戻って来たロロは、いつものように顔を洗って、歯を磨いた。清潔なタオルでていねいに水気を払ってから、髪をとかした。

足元ではシュシュがじゃれていた。

首元のルビーを右手で包み、温かさを感じていた。

ポケットにはイアからもらった手袋がはみ出していた。

そして、今日もまた始まった。

ため息さえでなかった。

「さ、朝ご飯を食べに行こうか。」

ロロは足元のシュシュに優しく語りかけた。

シュシュは応える代わりに、颯爽とロロの先を歩いた。キッチンへと向かって。