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卵人間

イアはロロの方を向いて、後ろ向きに歩いていた。決して膝は曲げずに。

そしてぶつかった。振り返ると、大きな大きなお腹をした卵の形をした男の人のようであった。

その卵人間はイアにぶつかられて仰向けに倒れ、起き上がることができないと喚きたてた。

「うわぁ~、起きられないよぉ、まただよぉ、起こしてくれよぉっ!」

イアが起き上がらせてあげようとしても、卵人間はむきになって手足をバタバタさせて、助けることができなかった。

喚きたてている卵人間が倒れている路地の向こうの暗がりに、ロロはヨジマを見た気がした。そんなはずはないのに。

ロロは卵人間を見下ろした。

卵人間はロロの目を見、その首のルビーを見るや、騒ぐのを止めた。

ロロは手を差し伸べた、決して優しい顔は見せずに。

卵人間は恐る恐る、ロロの手の方へと自らの手を伸ばした。ロロは卵人間の手を握った。ロロは手を握っただけで、力を入れている様子は見えなかった。だのに、卵人間は立ち上がることができた。

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