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摩訶不思議
ふと空を見上げると、ネノが竹箒に跨って上空を横切って行った。
人々はそれを見ているはずなのに、気にかけている様子もなかった。
イアははしゃいでいた。早足で駆け回り(決して膝は曲げることなく)、あっちの店を覗いたり、こっちの道端の花をロロに紹介したり、寂し気な表情は失せ、喜びの塊となっていた。
ロロはただイアに着いて行った、シュシュを腕に抱えたまま。街はどこまでも続いていた。
路地を横切るスーツを着た兎は時計を見て慌てていた。
四つの足にブーツを履いた猫が通り過ぎたかと思うと、細い長い足をした象がのっしのっしと歩いていた。