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左手の薬指

ズズは手を払うような素振りをして自らの顔の前にかざし、入念に見入った。

右手の人差し指の先に薄っすらと切り傷ができていた。

「痛いわぁ。」

ズズはシュシュを睨み付けた。そして、左手の薬指で右手の人差し指の傷口をなぞった。すると、傷口は閉じられた。

シュシュを抱いているロロの左手を奪い、自らの薬指の腹の部分とロロの薬指のそれを鏡合わせにした。

シュシュはロロの足元で地団駄を踏んだ。

ズズは得も言われぬ笑顔をロロに見せ、次の瞬間には消えていた。この部屋に入って来た時と一緒、音も立てずに出て行ったんだろう。

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