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手中の炎

ネノは入って来た窓から出て行った。とんがり帽を被り直し、竹箒に跨って、月が輝く闇夜の中へと一直線に飛んで行った。それを見送るようにアランが一声上げていた。

「クロアァ。」

ネノを見送ると、窓はパタンと閉じられた。


ロロはゆっくりと自分の右手を目の前にかざした。人差し指を一本立てた。その爪の先には炎が灯った。蝋燭を吹き消すように、炎を消した。今度は指を開いて、手を広げた。右手の5本すべての指の先から炎が燃えた。手を閉じると同時に炎も消えた。両手をかざすと、すべての爪の先から炎が燃えた。炎を強めたり、弱めたりすることもできた。

火は、最早ロロの手中にあった。

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