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燃えるシャボン玉
「見て。」
ネノは、まだ半分以上ハーブティーが残ったグラスの上に、右手の人差し指をかざした。ネノの銀色の長く伸びた尖った爪の先に、炎が灯った。
いつの間にかテーブルの上に座していたシュシュは、背中を丸めて全身の毛を逆立てはしたものの、唸り声は出さずにいた。
ロロは炎を見つめていた。
炎はハーブティーに移った。液体の中に丸い空洞ができ、その中で炎が燃えていた。
ネノはそのグラスをロロに持たせた。ロロの両の手の中で、グラスの中の炎は更に燃えた。
そして、中心に火が灯ったままのシャボン玉がゆっくりとグラスから飛び出し、ロロの目の前まで浮いた。
シュシュは今にも飛びかからんと身構えていた。
シャボン玉の中で火は燃え盛り、それからゆっくりと小さくなっていった。
そして、そのシャボン玉は、ロロのルビーに吸い込まれていった。