13/118
跡の形
「逝ったな。」
それは、アランの声だった。ロロがやっと自分の声を分かるようになった様子を見て、アランは満足げそうな笑顔を浮かべていた。
ロロは胸の前のルビーを握りしめた。
「大往生だったな、ヨジマ。」
「やめて。」
シュシュはまた一回り大きくなっていた。
「なんだ。ママがいなくなってずっと泣いてたくせに。」
ロロはシュシュを胸に抱いた。シュシュはヨジマの涙の温かさを感じていた。
「300年の終わりがあれなら、立派なもんさ、本当に。」
「…頼むよ、アラン。」
ロロの声は大人びていた。
「飯なら台所に行くといいさ。」
そう言ってアランは天窓から飛び立って行った。
アランが通り抜けると、新しいステンドガラスが貼られた。そこには若かりしヨジマと思われる、黒衣を纏った銀髪の美しい娘の姿が描かれていた。