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栄誉ある集団

2010年4月

都内の私立大学である帝國工業大学で新入生勧誘が実施されていた。サークルや部活動での後輩を確保せんと知恵を絞るのだ。


煌びやかな太陽が放射線混じりの太陽風で地球を暖める恩恵と弊害を受けるこの日、まさに相応しい天候と言える。


校舎を背にするタイル貼りの通路では両側に並ぶ先輩らが、新入生を待ち受けるのだ。

笑顔とユニフォームで虎視眈々だ。サバイバルゲーム部はエアガンの持ち出し許可を得ていなかったとか、トラブルも有るのだが。


「おはようございます、演劇研究サークルです! 新入生かな?」


「釣り研です、渓流釣りとか興味ない!?」


そんな客引き街道を行く新入生の少年が見付けたサークルは、まさに入学前から参加を決めていたものだった。派手に装飾された通りの最も奥で、彼らは退屈そうに日陰で座っているのだ。


「いじめ撲滅サークルですか?」


日陰でプラカード片手に缶ジュースを飲んでいたメンバーに近付き、声を掛ける。一応勧誘するという意識は有ったらしく、応答はすぐに有った。


いじめ撲滅サークル、この冴えない集団は、いじめの原因究明と対策について大学外からも期待される異例の存在だった。

学外公演も少なくなく、それでいてメンバーが少ないのは題材故にだろう。


「そうですよ、もしかして新入生? 嬉しいなー。名前は?」


「本田琢磨です」


無精髭は既に青髭として存在を誇張し出していたが、それでも辛うじて20代後半に見える新入生の本田琢磨は遅滞なく部室に案内された。

希望通りならば、彼にとって、久しく見る許された居場所になるのだ。


部室棟と呼ばれるアパートの様な古びた建物に、全ての部活やサークル、愛好会の部室が押し込められている。


手狭な部屋ですが、と案内された部室は嘘偽りなく手狭だった。それでも栄光の活動の歴史が、所狭しと飾られているのだ。

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