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91話目

『お前、うざい。ほんとさあ、俺たち家族のことに足を突っ込まないでくれ。部外者に話すとかどういう精神してんだテメー。武谷、とかいうんだろ、アイツ。アイツのことは俺がごちゃごちゃ言って、帰らした。けど、突然倒れるとかどうしたんだよ、お前。めっちゃ心配されたぞ。……迷惑だからそういうのやめろよ』


「ごめんなさい!」


 日記を呼んで開口一番にそういう。ほんと……わるい……。よく考えなくても、やっぱりプライバシーの侵害だったかな! ごめんな!

 にしても、若杉由布……。


「心配、してくれてる、ってことでいいのか?」


 最後の方の文章をなぞりながら、呟く。もしかして若杉由布って、ツンデレ? いや、知ってたけど。相当に今更なんだけど。男のツンデレとか誰得。

 でもそういえば、俺、なんで倒れたんだろう。日頃の不摂生? ……食事は、若杉由布にほぼ任せているから、わからない。でも、腹ペコのところに生クリーム食べたから? ケーキ二つも食べたから……? 食事だと、それ以外心当たりはない。心当たりがないことのが原因に近そうな気はするけど。


「むしろ心配なのはお前の食生活だよ、と……」


 日記に文章をさっそく書くことにした。


『武谷に家族のことを話しちゃったのは、ごめん。やっぱり、まずかった? でも、武谷は味方だし、いい奴だよ。俺は倒れた原因、心当たりないけど……。お前、ちゃんと飯食ってる? 大丈夫か? 体には、お互い気をつけようぜ。あと』


「あと……」


 なんだろうな。書きかけていた、手が止まる。自然に頭を過ったのは、あの、約束。


「……いやいやいやいや」


 書くわけないだろ、あんなの。ほんと、若杉由布に迷惑掛けたくないって何回言えばわかるんだ、俺。そんなの、ぜったいに……。


「……」


 折れてしまいそうなくらいに、シャーペンを握りしめた。痛い。


「……行きたいの、か?」


 さっきから、そればかりを考えている気がする。けれど、いくら考えたところで現実的な行く方法はおろか、自分が行きたいのかさえも、わからないのだった。

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