87話目
「じゃ、あのさ……次、話していいかな」
「なんだっけ。体質?」
「うん」
「……それ、重い?」
「まあ、……た、多少は?」
「そう、か……」
武谷はちょっとだけ胃もたれしたみたいに腹をさすった。ケーキは食べていないのに。そんなのんきなことを考えている自分がおかしかった。
「えーっと、なんていうかさ、超次元というかファンタジーというかメルヘンというか……現実じゃ、ありえない話なんだけど」
「お前の家族の話だけでも十分フィクションっぽいのにか?」
「そんな風に思われてたのか!?」
「冗談だって。信じてるよ。……だけどまあ、気軽に聞いてもらえた方が良くないか? 重い話なら、なおさら」
「……まあ、そうかも」
武谷、こういうところでは気を利かせるのか。俺といえば、気軽に聞かれた方がいいのか、しっかり受け止めてもらいたいのか、自分でもよく分からない。もしかしたら、ただ聞いてほしいだけなのかもしれない。自分でも自分の感情がよく分からなかった。でも、話したいんだろうとは思う。全部、洗いざらいぶちまけたいような。そんな、気分だ。
言葉が、堰を切ったように溢れ出した。
「――――っ、俺、さ」
がつーんと、頭痛が来た。気付くと意識を失っていた。




