82話目
かなり迷って、でも俺は途中で考えるのをやめた。だって、考えたところで結論出ねえし、そこまでの頭を持っていないからだ。だから、俺は話すことにする。話して、信じてもらえるかもらえないかは武谷次第だ。俺が考える事じゃない。
さて、どこから話そう。
「わ、若杉……?」
「あ、うん。大丈夫」
「良かった……なんか嫌われたかと……」
ほっと息をつく声が聞こえた。こいつほんと、無条件でいい奴だな……。
「あの、さ……ちょっと長い話になるんだけど、話しておきたいことが、いくつかあるんだ」
「へえ?」
「俺が黙ってたのは、それを話していいか、よくないか、わかんなかったからで。だから、全然嫌ってるとかそんなんじゃ、ないからな」
「おう……! ありがとう!」
「……うん」
そこまで喜ばれるとなんか逆に困る。なかなか他人との距離感がつかめない。
「それで……えーっと、どこから話せばいいんだろう……」
「どこからでもいいぞ。若杉の望む方からで」
「……じゃあさ、俺の家族の話と、俺の体質。どっちから、聞きたい?」
体質。そう表現していいものか分らないけど、なんだかしっくり来た。いいな、体質。
「……うーんと。体質……も、気になるけど。やっぱり家族、からで。なんか、おかしいだろ。お前の父親」
「……うん」
おかしい。確かに、そうだ。あの親は一般的に見て、どう考えてもおかしい。……若い頃がどうだったのかは、知らないけど。
「あー、じゃあ……」
「あああと、あのさ。その前に」
俺の言葉を遮って、武谷が言う。
「長い話しになりそうだから、部屋、入ってもいいか? その……若杉がいいなら、なんだけど」




