表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/120

77話目

 そしてしばらく、何の音もしなかった。どくどくと、心臓が波打った。何時間のようにも思えたが、きっと一瞬だったのだろう。扉がどん、と押された。振動が直に伝わる。手が震えているのが分かった。開けちゃいけない、それだけを頭の中で唱え続けた。ここに来させちゃ、いけない。押さえておかないと。扉がそのあとも、何回も叩かれる。どん、どん。自分ががたがたと震えているのがわかった。怖い。怖い。しばらくして、外から声が聞こえた。


「……由布、開けなさい」


 優しい声音だった。肌が粟立つ。開けたくないと、本能が叫んでいた。嫌だ、いやだ。


「由布」


 扉ががたがたと鳴る。かちかちと、俺の歯の根が鳴って、体も震える。まぎれもない恐怖が、俺を襲っていた。扉が開けられたら、死ぬ。そんな感じがした。それからまたどんどんと扉を強く叩かれる。扉が軋む。壊れないか、心配になった。

 がたんと扉が大きな音を立て、俺が恐怖に身を震わせたそのとき。


「……なに、してるんですか」


 さっきまで聞いていた声だった。


「明らかに、尋常じゃない様子に……見えるん、ですが。これも若杉のためを思っての行動、なんですか」

「……君」

「武谷です」


 助かった、と俺は息をついた。安心感が、どっと体を襲う。


「あの、やっぱりやりすぎです。……若杉も、様子おかしいみたいですし」


 気付いてたのか。……ほんと、いい友達だと俺は笑った。ようやく、ちょっとだけ安心できた。するとなんだか力が抜けて……気付くと、俺は眠ってしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ