58話目
……いつも以上に、変な夢だった。
頭を押さえながら起き上がる。なんだよ、空が綺麗って。そんな空眺め続けていたって。映画のラストシーンみたい……というか、気障すぎる。若杉由布、こんな時代があったのか。なんだか不思議な気分だ。
よし、と気合を入れて立ち上がる。今日の夢のことは、取りあえず置いておこう。日記を取り出して、開く。若杉由布からの日記が書かれていた。
『砂場……? んなの、覚えてねえよ。
兄妹が羨ましいとか馬鹿かよ。うざいだけだぜ、あんなの。兄弟なんて、嫌なだけだ。俺はお前の方が羨ましいよ。アイツらにどれだけ苦労を掛けられたことか。
外には出ない。何度も言ってると思うがな。』
「……外、そんなに悪くないと思うんだけどなぁ……」
そんなに頑なに言わなくても、と俺は思う。武谷みたいないい奴もいるし、行けばいいと思うんだけどなあ。
兄妹はやっぱり羨ましい。どうしてそんなに嫌がるんだよ、と思わずにはいられない。
「苦労を掛けられた、か……」
やっぱり、なにかあったのだろうか。この兄妹。あの夢じゃ平和そうで、若杉由布も兄妹を尊敬してたみたいだったけど。昨日の兄の様子を見るに、悪い人じゃないんだろうが……。どっちにしても、両方とも第一印象は悪いな。というか、怖い。あの妹……若杉由布にとっての姉……えっと、裕美でいいや、も最初とても怖かったし。あ、そういえばなんで学校に来たのか怒っていた理由は定かじゃない。まだ、たくさんの謎が残っている。
若杉由布の家族関係を整理してみよう。姉と、兄と、母と父。父親は俺が学校に行くことを望んでいて、母親は何を考えているのか分からない。姉は、学校に来ないことを望んでいる……ん、だよな。兄は……ますます分からない。姉のことを気にしているのは確かだと思うけれど。この前のことが思い返される。……よかった、って言ってたしなあ……。でも、俺に安否を聞いたってことは、しばらく会えてないのだろうか。連絡も……とれて、ないんだよなあ……?
改めて疑問がわき起こる。
いったいどうして、あんなにも仲良さ気だった家族は、こうなってしまったのだ?




