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53話目

 こうなってくると、もう大分慣れてきた。変わらぬ夢……若杉由布の、記憶だと思われる場所に、俺はまた立っている。

 一体どうなっているのだろうか。一回目、二回目よりも思考はクリアで、ちゃんとそこにいるという実感は増していた。だからこそ、ますます疑問に思う。ここは、なんなんだ?

 明るい家族。明るい家。もう見飽きた。分かってるさ、どうせ崩れるんだろ? 次の瞬間には――――と、そうは、ならなかった。画面は明るいままで、二人、写っている。

 兄と姉。恵登と裕美。二人で手をつないで歩いている。そして、それを追いかける若杉由布。それを見て笑っている。辿り着いたのは……どこかの公園、だろうか。風景的に。固く結ばれた手が、兄弟愛の肩さを示しているかのようだ。公園では、シートを広げる。そしておにぎりを取り出して、三人で食べる。おいしそうに、笑顔で。食べ終わると遊具で遊び始めて……なんだ、すごく平和だ。

 砂場では、砂のお城を恵登が作っていた。なかなかにクオリティが高い奴だ。どうやら恵登は手先が器用らしい。少し離れたところで、裕美と由布がそれを眺める。


「……いっしょに、やろうよ」


 恵登が痺れを切らしたように声を掛けると、わっと二人が駆け寄って、手伝い始める。門を作ったり、遊具を作ったり、さまざま。由布の作ったものはなかなかだったが、裕美の作ったものはひどかった。一人だけ、手先が不器用らしい。同じく手先があまり器用ではない俺は、裕美に共感を抱いた。

 嫌になったのだろうか。砂場のすみっこで蹲っている裕美に、そっと恵登が近づく。そして、なにやら声を掛けると、今度は二人で山を作り始めた。そして、トンネルづくり。お互いに穴を掘って……どうやら、触れられたらしい。ぎゅ、と手を握っているらしかった。裕美が少し顔を赤らめて、それを恵登がわらう。……ああ、なんだか。脳裏をひとつの言葉が掠める。いや、そんなはずはないとわかっていても、ぴったりだと、思ってしまった。恵登と、裕美。二人の関係は、まさに―――――



「恋人同士、みたいだ」

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