51話目
ああ、また夢だ。昨日と似たような景色の前で、ぼんやりと思った。笑顔の兄弟。優しく見守る親。幸せそうな、家族――――。
でも、どうせ壊れるんだろ。
そう思った瞬間、画面が切り替わる。ぐらぐら揺れる。壊れたテレビみたいだ。ぼんやり思って……やっと、画面が安定した。昨日みたいな食卓風景かと思ったが、違った。三人の兄弟が、そこに居た。兄と姉が、寄り添うように床に座り込んでいた。その間に、弟……若杉由布が。仲のいい兄弟だ、という何回目かもわからない在り来たりな感想を抱いた。
と、今回は耳がぼんやりしていないことに気付く。つまり、会話がちゃんと聞こえるということだ。これはなにか、意味しているのだろうか。俺に聞かせたいことでもあるのだろうか。
「……お兄ちゃん、お姉ちゃん……」
ぐず、と今にも泣きだしそうな声で、弟が呟く。姉がそんな弟を撫でながら、言い聞かせるように言う。
「大丈夫、だいじょうぶだから……」
それは、弟に言い聞かせている様にも。自分に言い聞かせている様にも、聞こえた。兄が、そんな姉をぎゅ、と抱き寄せる。そして、呟くように言った。
「大丈夫」
……時間軸的に、これは昨日見た夢の、後か? いつみても、本当に仲のいい兄弟だ。……いっそ、不気味すぎるほどに。俺には兄弟がいなかったから分からないが、こんなに仲がいいのが普通なのだろうか。それに、なんだこのお兄さん。めっちゃ優しいじゃないか。最初に見たあの兄とは、まるで別人のように見える。
「……お兄ちゃんが、守ってやるからな……大丈夫だからな……由布」
その言葉で、目が覚めた。




