49話目
今年最後の投稿。良いお年を!
体が宙に浮いているような気分だった。そして、目の前には笑顔の子どもが三人と、そして二人の夫婦らしき人物がいた。
夢を見ているのだ。―――――唐突に、そう思う。
頭は霧がかかったように、上手く働かない。ただ、目の前の光景が酷く懐かしいもののように感じられるのは、なぜだろうか。
ああでも、確かに幸せそうな光景だ。仲のいい家族。三人の兄弟。お姉ちゃんと、お兄ちゃんと、そのあとをてくてくと追っていく弟。転んでしまった弟を、そっと二人が起こす。可愛らしい三人の兄弟は、見る人を幸せにさせた。それをほほえましそうに見守る両親。一枚の絵画みたいに、綺麗な絵だ。
――――ふと、画面が切り替わる。今度は画面が、暗い。言い争う両親。二人とも酷く焦るような、嘆くような様子。声は聞こえない。もし聞こえたとしたら、きっと耳が痛くなるほどの罵声や怒声が飛び交っているのだろう。それを、兄と姉が、手をつないで見守っている。固く握られた手は、兄弟愛の象徴のようでもあった。そして二人は、幼い弟に、必死にそれを見せないようにしていた。大人たちの汚いところを、隠し通そうとしていた。
美しい兄弟愛だ。ぼんやりとそう思った。母親がちらりと子供たちの方を見て更に激高したところで――――。
目の前に、天井が広がっていた。見慣れた天井だ。
「……夢、か……」
そう言ってから、ふと気づいた。アレは、若杉由布の記憶だ。
「じゃ、あれは若杉由布の兄と姉……?」
確か名前は、恵登と裕美、だったはずだ。
「なんであんな、幸せそうな……?」
それが、こんなことに。
一体この家族に、何が起きたんだ?




