45話目
がんばれ
『ああ、説明し忘れたな。アイツは姉だ。血のつながった、な。大夫頭がイカれてる。でも悪い奴じゃないぞ。多分。名前は、若杉裕美。同じ学校、三年生だ。まあ、あんまり関わるなよ。なにいっても無視しとけばいいから。
友達は、いらない。武谷だかなんだか知らないが、無視しとけ。邪魔なだけだ。偽善者しかいねえよ、俺と仲良くするやつなんて。あと、お前が何と言おうが俺は学校に行かない。
それから、強要はしてなくても意見を押し付けないでくれ。俺には俺の理想があるんだ』
「理想、ねえ……」
いや、お前の理想など知ったことかと言ってもいいのだが。この体に居候させてもらっている身では、意見を言うのは躊躇われてしまう。
「友達、……というか武谷はいい奴、なんだけどなあ……」
多分。よく寝てるけど。と、心の中で付け足す。
……と、いうか。
「やっぱりあれ、姉だったのか……」
あまり考えたくない話だ。若杉由美。なんだか、嫌だな。ほんとに姉だなんて、思いたくない……。一年しか年、違わないのか。ということは、兄貴が一番上、二番目が由美、そして俺は三番目、か。多いな
家族。
無愛想な兄。頭がイカれてる姉。怖い父。この家族は一体どうなってるんだ? お母さんは普通の人で良かった、……いや、いいんだよな? これで母親もまともじゃなかったらどうしよう……。こんな家庭環境じゃ、若杉由布がぐれるのも当然かもな……。可愛そうに。
明日は、学校へ行くべきなのかな。日記を抱えながら、ふと思った。




