44話目
慌てて家に帰る。ドアを開けて、猛ダッシュで部屋へと駆け込んだ。ドアを大袈裟に閉める。そして、ドアに凭れ掛かった。
「は、ぁ……」
大きく息を吐くと、ようやく落ち着いた気がした。たかが一日いなかっただけなのに、随分とこの部屋が恋しくなってしまっている。誰も居ない殺風景な部屋は、俺に安心感を与えてくれた。
息が整ったところで、立ち上がって日記を手に取る。
なにをかくべきか迷い、何度もペンを手で弄んだ。そしてやっと、俺は文字を書き始めた。
『……若杉由布、学校へ行ってきた。
まず、武谷っていう友達ができたぞ! 授業中枕使って寝てる奴。いい奴だ。
……それと。あの、女の人、誰だ?
なんか勝手にこっちに怒鳴り込んできた、嫌なヤツだった。お前の姉だって、名乗ってたぞ。
一体、どういうことなんだ? 俺、全然わかんないよ。
あと、皆いい人だったよ。なんでお前、学校行かないんだよ。強要はしないけど……行った方が、いいと思うぞ。楽しかったし』
ここまで書いて、俺はため息をついた。なにが強要はしない、だ。思いっきり自分の意見を押し付けてるじゃないか。
「あーあ……」
やる気がおこらない。ペンを手放し、ベッドに寝転がる。気付くと、意識がなくなっていた。




