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42話目

ヒロイン難しいです

「あ、えっと、武谷!」


 STが終わり、後は帰るのみ、となったところで俺は武谷に声を掛けた。武谷はゆっくりと振り返る。なんだか目がとろんとしている。まだ眠いのだろうか。


「あー……あの、今日はなんか、ごめん……というか」

「ん、……まあ、別に。なんでも、いいよ」


 ゆっくりと一言一言発音し、武谷は欠伸を漏らした。なんだか、すげえ眠たそう。気を抜けば今にも眠ってしまいそうな様子だ。お前、そんなにも寝たいのか……?


「あ、じゃあ……うん、行くから」

「うん……ふぁーあ」


 とりあえず、謝るという用事は済ませた、と俺は立ち上がる。そして、逃げるようにその場を後にした。一刻もはやく家に帰りたい。さっさと帰って、日記を書こう。若杉由布に聞いて、あの女の人の名前を聞かなければ。そして、今日のことを報告しよう。一体またなんで、学校に行くなんてそんなことをしなくちゃいけなかったんだろう。理由を聞いて……もう一度、学校に来ることは無いかもしれない。疲れたし。

 そう思うと、なんだか少し足が重くなった。……やっぱり、学校に来た方がいいよな。若杉由布も、学校へ行くべきだ。人間関係とかを学ぶべきだとも……思うし。


「はぁ……」


 今日何度目かのため息をつく。考えないといけないことが多くて、頭が痛くなってくるのだ。あーあ、大体全部若杉由布のせいだ。ああいうめんどくさそうな人のこと、なんで言ってくれないんだ……。

 校門を抜けたところで、足が止まった。


「……エッ!?」

「待ってたわよ、由布……」


 そこに立っていたのは、あの女の人だった。


「じゃあ、話、聞かせてもらおうかしら」


 ぴくぴくと、彼女のこめかみに筋が立っているのが見えた。……怒ってる? また、なんで。若杉由布は、この人と一体どんな関係なんだ? というか、俺はどう対応すればいいんだ?

 よく分からないが、この人は若杉由布を知っている。ばれないように、しなければ……。


「……アンタには、関係ないだろ」

「はぁ!?」


 あれ、違ったか。若杉由布って、確かこんな感じじゃ……。

 女の人はわなわなと体を震わせて、拳をきつく握りしめている。


「関係ない? 関係ない、ですって……!」


 あれ、これってもしかしてやばい?

 女の人は目に涙を溜めて、こちらを睨み付けながら言った。




「そんなの――――――実の姉に対して、あんまりな態度じゃないの!」



「――――はあ!?」

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