36話目
新キャラとーじょー
時はあっという間に過ぎ去り、弁当の時間となった。クラスの皆はわいわいと好きなもの同士であつまり、弁当を食べ始める。俺はひとり、ぽつねんと残された。
……ま、当然こうなるよなー……。
「おい若杉! 一緒に飯食わね!?」
「ふぁ!?」
突然声を掛けられ、思わず変な声が出てしまう。一体誰だ……と後ろを見ると、弁当袋を持った、一人の男。クラスメイトだということは、勿論分かり切っている。でも、どこかで見覚えが……あ。
「お前、授業中寝てた奴か……!」
思わず指差すと、ソイツはきょとんとした表情をして、すぐに合点がいったという表情に切り替える。
「ああ! 授業中はつい眠くて!」
「いや、眠くてってレベルじゃないだろあれ……」
枕まで用意するなんて、計画的な犯行でしかないだろう。
「いや、お前クラスでまだはじめてなんだろ! ならぼっちだ! 飯食おうぜ飯! 俺もぼっちだから仲良くしようぜ!」
「初対面でぼっち宣言されるってなにごと……!?」
思わずつっこんでしまう。大丈夫かとも思ったけど、ソイツは気にする様子もなくハッハッハと笑っていた。なんだ、コイツ。頭大丈夫か? 別の意味で心配になった。
「よーし、飯! 飯! はよ食べよ!」
ソイツは俺の席の近くに、自分の椅子を持ってくると笑顔でそう言う。俺は一瞬言葉に詰まったが、、まあ……悪い奴では、ないんだろう。と、思ったから。小さな声で、会話をした。
「べ、つに……いいけど」
「ありがと、若杉!」
眩しいほどの笑顔だった。コイツ、笑顔以外の表情はないのだろうか。その笑顔に少し、嬉しくなったのもまた事実だったけれど。
「あ、でも……名前! お前、名前は!?」
「俺?」
弁当袋の紐と悪戦苦闘していたソイツは、一旦手を止めて、俺の目をしっかり見て名乗った。
「俺は、武谷豊成!」




