27話目
毎日疲れます…
若杉由布は馬鹿だ。日記を見ながらそう思った。
ぎゅ、と日記を掴むと、紙に皺がよる。破らないよう、自制はした。
「……馬鹿野郎」
もっとこっちを頼れよ。
体中が、痛い。若杉由布の父さんに殴られた傷だ。
あの日、あの人は酔っぱらっていた。酒を飲んだ状態で、俺の部屋に入ってくると、暴力を振るった。蹴られた。殴られた。瞬間的に俺は、これが若杉由布の隠したかったことだと確信した。抵抗は、できなかった。だって若杉由布のことが頭をちらりと掠ったし。それに、なによりびっくりしたのだ。いたくて。抵抗なんて全然考えられなかった。
頼って欲しい。だって、暴力だ。そんなの腹が立つし、許せない。あの父親が何考えてんだか知らないけど、こっちのことなんて考えてないに決まってる。自分自身の面目のことしか考えてないのだろう。俺は、そんなの嫌だ。
なあ、若杉由布。お前はもっと逃げていいんだよ。学校なんて、行かないで、家も、出ちまえ。そしたらきっと、楽になれる。
リスカとか馬鹿なこと、やめとけよ。だって痛いじゃん。今でさえ痛いのに、もっと傷増やすの、馬鹿みたいじゃん。自分の自由に生きろよ。そうすれば、なにか。分かるかもしれない。変わるかもしれない。……頑張れよ。
そこまで考えて、俺は息をついた。馬鹿なのは俺だ。若杉由布は、干渉するなと言っていた。余計なおせっかい。そうなのだろう、確かに。……力になりたいなんて言ってるが、結局はただの自己満足なのだ。自分の善意を、押し付けているだけ……なのだろう。
どうすれば、いいんだろう。どうすれば、若杉由布を助けてやれるんだろう。
そんなことを、俺は考える。いくら考えても、答えは見つからなかった。




