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26話目

お互いの日記。

『ありがとね。若杉由布くんは、学校に行かないの?』

『行く分けねえだろ。俺はお前と違って忙しい』

『この小説、書いてるから?』

『小説っていえるほどのもんじゃねえ。……でもま、それもそうかもな』

『そっか。すごいね、学校行かないでやりたいことがあるって』

『すごくねえよ。学校行かないの、結局は逃げてるだけなんだから。なんも誇れねえよ』

『すごいよ。俺よりもずっとすごい。逃げてるなんて言わないでよ。それに、逃げてたとしても凄いよ』

『なんですごいなんて言えるんだよ。何も知らねえくせに』

『うん、知らないから言えるんだ。言ってあげたいんだ』

『そうか。でも、迷惑だ。それにいくらそんな言葉を並べられても、俺は学校には行かねえからな』

『いや、その気持ちはわかるんだけど。抵抗するために俺の手首に線増やすのやめない!?』

『別にいいだろ。俺の体だ』

『俺の体でもある。俺、痛いの苦手なんだ』

『お前、敬語消えたな。大人じゃねえみたいだ』

『そうだね。今は大人じゃないや。無理に大人である必要って、ないしね』

『ふーん。お前、いくつだったんだっけ』

『社会人』

『それじゃあ分かんねえよ……まあ、いっか。で、お前はなんで俺の体に入って来たんだ? 関係なくね?』

『それが分れば俺も、苦労しないんだけどね』

『ま、だよな。出来ればさっさと出ていって欲しいんだけど』

『それは酷くないか……? まあ、置いといてくれると助かります』

『えー……てかさ、風呂もトイレも食事も俺がやってるけどさ、お前はやんないの?』

『下の階へ行くの駄目っていったのお前だろ』

『まあ、お前部外者みたいなモンだしな』

『ぶがいしゃ……まあ、確かにそうなのかも、な。少しは家族になれたらうれしいよ』

『俺は嫌だね。アンタはあくまで部外者。それ以上でもそれ以下でもない』

『まあ、そうだよなあ……。いつか、でいいよ。いつか、お前が受け入れてくれたら。それで、いいよ』


『どうしたんだ? 今日は珍しく、日記書いてないし……。

 それに、なんか……傷が、増えてる。痣? が、腹にできてるんだけど……ぶつけたのか? 大丈夫か?』

『なんでもない』

『そう、か……? お前、なんか隠してること、ないか?』

『あ?』

『い、や……勘、なんだけどさ』

『ねえよ。あるとしても、お前に話したくねえ』

『話さなくていいから。書くだけでいいから。

 ……少しは、気分紛れるかもしれないぜ?』

『嫌だ』

『そっか。なら、いいや。

 あと、なんかお前の書いてる作品、雰囲気がちょっと暗くなったような気がするのは、やっぱり私生活でなんかあったから……か?』

『はあ? だからンなもん、お前には関係ねえから』

『ああ、もう……俺だってお前に頼られてみたいんだからさあ……話してみろよ』

『嫌だ』

『そこをなんとか!』

『絶対に無理だ』


『……おい? 分かんなくなるから日記はちゃんとかけ』

『ああ、うん。分かったよ。ごめん、ちょっと、忘れちゃって。

 分かった代、お前が悩んでた事』

『……そっか。すまん、巻き込んだ』

『いいよ、うん。分かった。

 でもさ、これって……ちゃんと、誰かに相談した方が、』

『嫌だ。

 これは俺の問題だよ。お前には関係ない』

『巻き込んだって言ったじゃん。俺、巻き込まれてるんだから。話してくれよ』

『……ごめんな。でも、何を話すっていうんだよ。

 あの人、悪い人じゃないんだ。普段は優しい人なんだよ。……多分。ちょっと、厳しいけどさ』

『そういう思い込み、捨てた方がいいぜ? ……信じたいのは、分かるよ。

 だけどさ、そういうのじゃ駄目な時だってあるよ、きっと』

『お前に、何が分かる。……そう言いたいところだが、まあお前だから分かるのかもしれないな。部外者だし。

 でも、俺は行動しないよ。

 学校には行かないし、父さんからの暴力だって……譲受、する』

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