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25話目

いつになったら学校いってくれるんだよコイツら

 夢を見た。むかしの夢だった。

 小さい頃の、自分。客観的に、それを眺めていた。それは酷く、辛いものだった。何が悲しくて、過去を見なくちゃいけないんだろう。俺なんて、消したい過去ばかりだ。

 俺は、絵を描いていた。夢でも現実でも絵を描いている。ほんとに、何でなんだろう。

 絵を描いて、描いて。褒められることを望んだ。一度褒められて、有頂天になったのだ。そして、勝手に決めていた。自分は絵関連の仕事に就くのだと。そして、絵で食をとっていくのだと、そう思っていた。だから、その為にずっと絵を描いていた。

 周りが遊んでいる時も、勉強してるときも。ただただ、ずっと、独りで。絵を、描き続けていた。

 ……そうすれば友達ができるんじゃないかって、そんなバカな妄想を抱いていた。

 馬鹿だったのだ。もっと、他の事をやるべきだった。絵なんかに時間を割いて、割いて。上には上がいるというのに、自分は上手いのだと思い込んで。調子乗って。独りぼっちで!

 馬鹿だろう。笑えよ、笑ってくれ。

 結局碌な会社にも努められなかった。そんでまあ、色々あって、俺は死を選んだ。

 ああ、夢なのになんでこんな思いをしなくちゃいけないんだろう。もう、この夢は見たくないなあ。そんな感じで、俺は目を覚ました。


 汗で、体がびっしょり濡れていた。嫌だな、こういうの。若杉由布にも、悪いと思う。ジャージ、湿っちゃったし。着替えたいが、勝手に着替えていいものか。分からないので、放っておくことにする。そういや全然風呂入ってないんだけど、若杉由布が入っているのだろうか。入った方が、いいのかなあ……。ふんふんと自分の体臭を嗅ぐが、臭いのかどうかは分からなかった。

 日記を開く。昨日は大したことをしてないから、ほんとに短い日記になった。


『褒めてくれてありがとうございます!

 めっちゃ嬉しいです……! あと、やっぱりあのお話、すごく好きです。ありがとうございます!』


『別に。そんなすごいもんじゃない。才能ないし。

 ただ、まあありがとな』


 なんだか、少しずつ仲良くなれてる気がする。それは嬉しい。

 カレンダーを見ると、いつの間にかもう5月になっていた。早いものだ。大丈夫かな、若杉由布。学校、行くならはやく言った方が、……。

 俺の口から、言えたことじゃないな。俺は、もっと逃げて来たんだから。

 若杉由布も、もっと逃げちゃえばいいのに。俺みたいに、学校だけじゃなくて。家族からも、街からも、何もかも……。

 そっと、若杉由布のノートをなぞる。


 無理だな、若杉由布には。

 だって、若杉由布は、こんなにも優しい文章を書ける。きっと、優しい人なのだ。


 俺と、違って。

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