表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/120

22話目

夏休みが終わりました(絶望)

『嫌だ。

 お前の絵は凄いと思うけど、俺の話は大したことないし、見せたくない。というか、見るなよ。俺のもんだからな。』


 ……うん、分かってた。

 だって、あの若杉由布くんだもんなあ。すっごい機嫌悪そうだもん。

 はあ、一つため息をついて日記を閉じた。少し、悲しい。いいじゃん、別にーーー! 俺はただ、読みたいだけなのにさ。

 日記を仕舞い、もう一度ベッドに寝ころんだ。けれど、目は閉じない。考える。

 今日は、何をしよう。また絵を描こうか。

 ううん、まあそれしかないよな。でも、なあ……。どうしても、またあの話が読みたい。一回だけじゃなくて、もっと読みたいなあ。

 ていうか、暇であろう若杉由布はあの話を書いてるから、俺に忙しいと言ったのだろうか。てことは、また続きが書かれているという事だ。うう……読みたい、とても読みたい。学校へ行かず物語を書いてるって、相当文字を書くのが好きなのだろうか。作家とか、本格的に目指してるのかな。だとしたらあの面白さも納得だ。

 そんなことを思いながら、ノートを取り出す。昨日も描いていたノートだ。悪いなあ、勝手に使わせて貰っちゃって。さらりと、書き心地を確かめながら考える。さて、今日はどんな絵を描こうか。


 真っ先に思いついたのは、勇者だった。

 彼の御話に出てきた、勇者。ヒロイン。そして戦士。


 まるで存在しているかのように、俺の頭にははっきりとイメージが湧く。描きたい、と思った。指が滑り出す。気付くと絵を描き始めていた。

 勇者。物語の主人公。気弱で、苛められっこで、一人じゃ何にもできない、そんな奴。うじうじしているし、見ていてなんだか苛々する。自分自身が大嫌いで、そんな自分を変えようとする。そして、冒険の旅を始めるのだ。

 目つきは悪くない。優しげな目で、たれ目……かな。それから、髪の毛は薄い茶色で、明るい茶色の目。背は低め。

 ヒロイン。いじめっ子。主人公のことが、嫌いで嫌いで堪らない。いつも主人公を苛めてるから、怖がられてる。周辺一帯のボス。裕福な家の子。

 うーん、やっぱり主人公と対照的なキャラだから、見た目も対比させようか。背は主人公より高い。それで、吊りあがった目。色は……うん、綺麗な紫。性格が悪いから、見た目は綺麗にしてあげないと。髪の毛は藍色かな。

 戦士。長い髪の毛を引きずっている。確か、性別不明。無口だけど、借りた恩は返す律儀な性格。ぼさぼさの髪で、あんまり手入れはされてない。顔も、あんまり綺麗な訳じゃない。ただ、これといって汚い訳じゃない。つまり、普通。そんな顔。

 どんどん想像が湧いてくる。楽しい。今は、最高の気分だった。

 俺は時を忘れて、紙に絵を描き続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ