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12話目

ゆっくり

 だが、そんな願いがかなうはずもないのだ。


「……ッ、くそ……」


 俺は今、無力だった。それは前も同じことだったが。

 しにたい、なんて言葉は言い飽きた言葉だ。思ってるだけじゃだめだし、行動に移さないといけない。だから俺は、行動に移した。しかしもう、この体ではその権利さえも奪われてしまったのだろう。

 しにたい、と言ったが俺は正確には、しにたい訳ではない。生きたくないだけだ。

 こんな苦しい、息の詰まりそうな世界に飽き飽きしているのだ。変えたいと思っている。だけど、世界は何一つ変わらない。だから俺が変わるしかない。それでも変われないから、俺は逃げたのだ。

 日記をもう一度読み直した。言語が通じない、か……。その気持ちは、分かると思う。

 同じ言葉をしゃべっている筈なのに。同じ話題を共有している筈なのに。なぜか、会話が成り立たないというか……言っていることが通じてない、みたいな。そんなことはあると思う。それが、父親と兄か……。若杉由布くんも、大変だな。二人とも、怖そうな人だった。母親とは上手くやれているのだろうか。優しそうな人に見えたが。自分の見た目――――若杉由布の姿は、母親にも父親にも兄にも似てないように思える。

 真逆、血が繋がってなかったり。

 ……流石にそれはないか。小説の読みすぎだな。


「……よしッ」


 ごろごろしていると、少し元気が出てくる。今日は何をしようか。

 ……アイツ、自分が何してるか全然書いてくれなかったもんな。本当に、俺は何をすればいいんだろう。暇だ。

 やっぱ、部屋から出てみる、か……?

 でも、近くにある部屋は全て回った。ということは、つまり……


「下……」

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